地味に流行「トンチン年金」はおトクなのか 長生きすればするほど、おカネがもらえる

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こうして見ると、同じ月10万円の積み立てを考えると投資信託で積み立てをして資産を増やすというのも選択肢です。トンチン年金は途中で死亡したら実際の掛金を割り込んだ払戻金しかないのに対して、投資信託であればそのときの残高ですから、運用がうまくいけばという前提はあるものの、それも加味すると、投資信託での運用のほうに分があります。

年齢差のある夫婦なら、死亡保険という選択肢も

しかし、「運用はどうしてもいや」という方もいるでしょう。過去の実績をいくら見せられても、元本保証がないものにおカネを預けるのはいやという人は、選択肢の(2)である保険を考えてみましょう。

たとえば配偶者がいる場合、それぞれが終身の死亡保障をかけておいて、「どちらかが先に亡くなればその保険金を年金として使う」ということもできます。死亡保険であれば、支払った保険料以上の保険金を必ず受け取れるわけですから、損益分岐点を待つことなく万が一のときにまとまったおカネを受け取ることができます。

聞くところによると、トンチン年金は女性の加入者が多いそうです。女性は男性よりも寿命が長く、歳をとって配偶者に先立たれた場合を想定して、自分1人になったときの生活資金を確保したいと考える人が多いのでしょう。しかし、今見たように、仮に年齢差のあるご夫婦で、夫に先立たれたあとの期間が想定される場合、夫の死亡保険で長い老後のおカネを準備するのも、選択肢ではないかと考えます。

さて、最後の(3)=年金の繰り下げ受給はどうでしょうか。前出のように、「そもそもトンチン年金で準備できる年金額は、十分な金額なのか」という点も考えるべきです。今回紹介した50歳男性の例は年間44万円の年金額でした。もちろん60歳まで保険料を支払ったのち、10年ほど受け取らずに据え置いて、年金額を大きくするといった設計もできるでしょう。しかし、現状の予定利率(=保険会社が設定している運用利回り)を考えると、それほど年金額が大きく成長するとは考えにくいです。

ではいくらのトンチン年金ならよいのでしょうか? こう考えると、やはりトンチン年金以外でどの程度の老後の収入があるのか(トンチン年金に加入するにしても、それを含めての老後の収入)を見積もったうえで判断する必要がありそうです。

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