つみたてNISAで運用すると失敗しにくい理由 今年のノーベル経済学賞ともつながっている

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来年から始まる「つみたてNISA」。なぜ失敗しにくいと言えるのか(写真:thawornnrurak / PIXTA)

株価がじりじり上がっている。2日の日本株は、日経平均株価が2万2539円まで上昇した。昔の証券会社の場況コメント風には、「世界的なリスクオンムードや9月期中間決算発表への期待から先高感は根強く、バブル崩壊後の戻り高値2万2666円(1996年6月)を目指す動きになりそうだ…」などと書いてみるところだろうが、はっきり言うとこの数字に特別な意味はない。

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新聞の見出しくらいにはなるだろうが、単に株価がより高く上がるためにクリアしなければならない通過点だし、以前にこの連載でも触れたように、日経平均は2000年4月の銘柄入れ替えで大きな不連続性を発生させて、前後の比較が正確でなくなっている。

過去の株価のグラフを眺めて将来の株価を分析しようとするチャート分析(古風には「罫線分析」。「チャート分析」も十分古風だが…)にはほどんど有効性がないので、投資家読者には、「時間の無駄だから、凝りすぎないように」と申し上げておく。チャートを覚えると素人でも手軽に意見を持つことが出来て取引に参加してくれるので、証券会社やFX業者が「チャート分析講座」的なものを提供しているが、投資家諸氏はあまり期待しない方が良い。チャートはあくまでも過去を振り返るための道具だ。

セイラー氏がノーベル経済学賞を受賞した意味

さて、今回はここから本題に入る。ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー氏(米シカゴ大学教授)とつみたてNISAの関係に注目してみた。

セイラー氏は行動経済学分野の中心人物の一人で、今回の受賞理由は「経済学と心理学の統合」とされている。詳しくは『週刊東洋経済』2017年11月4日号(p96〜97)に友野典男明治大学教授が解説を書かれている。

セイラー氏は、近年では、必ずしも合理的ではないが人間らしく行動しがちな人々に「気づき」を促すことで、行動を変えようとする「ナッジ」の概念で有名だが、ファンドマネージャーだった筆者が最初にセイラー氏のことを知ったのは、1980年代後半で、彼が「リターン・リバーサル」について書いた論文(1985年)がきっかけだった。

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