地味に流行「トンチン年金」はおトクなのか 長生きすればするほど、おカネがもらえる
この50歳の男性が10年間で支払う保険料総額は1222万6320円です。万が一60歳時点で死亡あるいは解約をすると、払い込み保険料のおよそ67.7%が払戻金となります。いわゆる死亡保険のような、大きな死亡保障はありません。
この年金は「5年保証期間付終身」ですから、仮に62歳で亡くなるとトータル5年分の年金221万円のうち、未受給分がご遺族に支払われます。つまり、「最初、確実に受け取れる額(=5年分)は、支払い保険料のわずか18%」という意味です。
「元が取れる」のは87.7歳以上
では、この年金の損益分岐点は何歳かというと、27.7歳分、つまり87.7歳で元本回収となり、それ以降は利息を受取り続けるという格好となります。「人生100年時代」、もし100歳まで生きれば1768万円の受け取り額となり支払った額の1.45倍の受け取り額となります。
この年金保険に加入したい人の人物像としては、亡くなったときに家族におカネを遺さなくてもいい人、たとえば遺族の生活に必要なおカネは別途用意してある、あるいはおカネを遺すべき家族がいない方が挙げられます。
また、長生きすることが前提の人も挙げられます。何しろ90歳くらいまで生きないと元がとれないわけですから、長生きが大前提です。やはりトンチン年金は人生100年時代にふさわしい新しいタイプの年金保険なのかもしれません。
しかし、このケースでは50歳から毎月10万円強の保険料の払い込みが必要です。現実問題として月10万円、年金保険の保険料として支払いが可能な方はそう多くはないでしょう。さらに受け取れる年金は44万2000円、終身とはいえ月換算すると、3万7000円程度です。たとえ100歳まで生きたとして、月4万円程度の年金があっても、住居の確保と基本的な生活資金の確保が伴わなければ、これだけで生活をするわけにはいきません。
ということは、どうやらトンチン年金ではなく、それ以外の老後の備えも考えてみる必要がありそうです。3つの別の選択肢を、これからお話をします。
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