「働き方改革」はなぜ期待外れになったのか

ダメ会議撲滅会議自体がダメ会議だった皮肉

おおた:人知を集めてファジーな部分の改善をどのように実現するかを話し合うのが「議論」だと思うけれど、議論をせずに「で、何を決める?」で、決めやすいところだけ決めた、みたいな印象です。よくあるダメ会議と同じですよね。

常見:実は、皆が今よりもっと疲れる社会を作ろうとしているんじゃないの?という気分になりませんでしたか。僕はなりましたね。

なぜ「働き方改革」はわくわくしないのか?

「働き方改革実現会議」の中で、もっと誠実な議論がされていたら、こうはなっていなかったかもしれない。ではどんな議論をすべきだったのか。それを私たちの対談本『「働き方改革」の不都合な真実』の中では論じている。

2017年3月28日に開催された院内集会で、常見氏は「皆さん、働き方改革にわくわくしてますか? わくわくしてませんよね。何ででしょう?」と問いかけた。答えは簡単だ。受け身だからだ。「他律的」だったからだ。

「働き方改革」とは本来、ただ政府や役所に自分たちのライフスタイルを決めてもらうような「他律的」なものであってはならない。ましてや首相の鶴の一声で国民のライフスタイルをコントロールするような恐ろしいものであってはならない。

『「働き方改革」の不都合な真実』(常見陽平、おおたとしまさ/イースト・プレス)。「雇用・労働」「育児・教育」の専門家2人が未来に絶望しないための「働き方改革」を考察する。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

本当の意味での「働き方改革」とは、国民自らが「今後どんなライフスタイルを目指すのか」を、わくわくしながら議論して主体的に目標設定することでなければならない。

一日どのくらい働いて、どれくらい休息して、どれくらいの余暇を過ごして暮らすのか。そんなことは政治家にも労働問題の専門家にも決められない。私たち国民が主体的に決めなければいけないことだ。その次にやっと、それを実現するためにどんな法律や制度が必要なのかの議論が始まる。その順番を間違えたことが、今回の「働き方改革実現会議」で建設的な議論ができなかった原因であると私は思う。

「働き方改革」の「副作用」にもしっかり目を向け、国民的「インフォームドコンセント」に至るための主体的な議論が、同時多発的に始まることを期待する。

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