しかし、年末に開かれた結婚相談所主催のパーティで、現在の夫である友和(当時36歳、仮名)に出会った。パーティのときから、友和が美和子を気に入り、フリータイムでは側を離れず、押せ押せムードだったのはこちらからも見てとれた。
恋愛未経験の男性を好きになれるのか
その後交際に入り、2度目のデートを終えたときのことだ。
「今日、別れ際に謎のハイタッチをされました。その動きがぎこちなくて、女性に触れることに慣れていないのがバレバレでした。でも、なんか私、ドキッとしちゃったんですよね。中学生みたいって、おかしくなっちゃいました」
その後、手をつなぐようになりキスをするようになった。彼をトモくんと呼ぶようにもなっていた。あるとき、美和子はとても楽しそうにお付き合いの様子を話してくれた。
「トモくんって、これまで女性と付き合ったことがないか、あっても1回くらいだと思うんですよね。でも、それを私に悟られないように、恋愛慣れしているふうに振る舞うんですが、それがけっこう的外れなんです。なんかそういうふうに頑張ってくれている姿が“かわいいな”とか思っちゃって」
初めてホテルに行き、初めて男女の関係になった日のことも、とても幸せそうに話してくれた。
「トモくん、ガチガチに緊張していて、エッチができる状態にならなかった(笑)。だけど、私が経験豊富みたいに思われたらいけないと思って、彼のペースにずっと任せていました。それが逆に新鮮だった」
そこに気持ちがあるかないかで、同じ言葉を言われても、同じ行為をされても、幸せに思えるか嫌悪となるか。そこが男と女の相性なのではないだろうか。これはもう理屈ではない。相手に恋愛経験があろうがなかろうが、好きになってしまえば、なんでも受け入れられる。それが人を好きになったときの魔法なのだから。
では、恋愛せず歳を重ねてしまった人たちは、どうしたらいいのか。
これまでまったく恋愛をせずに30代、40代、50代になってしまった人たちも今の時代は珍しくない。
私は入会面談のときに、必ず過去の恋愛経験を聞くようにしている。「恋愛らしい恋愛はしたことがない」という人たちには、こんなアドバイスをしている。たとえば、一度も女性経験がなく40歳になってしまった男性には――。
「恋愛デビューを20歳としましょう。今40歳だから20年のブランクがある。この失われた20年をここで取り戻さないといけない。普通に生活していたら、恋愛対象になる女性に毎月会えないけれど、婚活という舞台に上がったら、行動すれば女性に出会うことができる。結婚できるかできないかは、行動したか、しないかにかかっているの。失われた20年分の出会いとデートの数を、ここ数カ月でリカバーする。そのくらいの気概で行動していくことが大事なんですよ」
結婚相談所でも、婚活アプリでも、出会う手段は何でもいい。“年収が低いから”“見た目がイケてないから”“だから選ばれない”と思うのであれば、その条件でも出会える場所を探してみる。婚活パーティ、婚活居酒屋、婚活イベント、出会える場所はどこにでもあるはずだ。できないことを9つ挙げるなら、できる1つの行動を起こす。とにかくまずは、出会うことだ。異性と対峙し、異性とのコミュニケーションに慣れ、失敗したら、その失敗から学ぶ。出会って相手の気持ちをつかめるかどうかは、場数を踏んだかどうかに大きく関係している。男女ともに、最終的に大切なのは相手の気持ちをつかむ力だ。
前出の宏美は、婚活を再開する決意をした。彼女の“お見合い第2ラウンド”は、始まったばかりだ。
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