すき家は、なぜ「牛丼値上げ」に踏み切るのか 来年春までに、牛丼並盛以外の値上げを実施

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吉野家や松屋は値上げについては慎重な姿勢を示す。吉野家の河村泰貴社長は10月上旬の決算会見の場で「現時点で値上げの計画はない」と断言。吉野家は2014年12月に牛丼を300円から380円に値上げしたところ、15%ほど客数が落ち込んだこともあり、価格改定に対して、慎重になっている面もある。

松屋フーズの瓦葺一利社長も10月末の決算会見で「(当面は)現状維持。現段階では値上げの計画はない」と述べた。

値上げで客数減のリスクも

牛丼チェーンの肉として使われるショートプレート(牛バラ肉)は価格が上昇している(撮影:今井康一)

ゼンショーHDが発表した2017年度の中間決算は売上高が2909億円(前年同期比8.3%増)、営業利益が100億円(同5.9%減)と増収減益で着地した。

丹羽本部長は「(当初は中間期が)営業増益予想であったにもかかわらず、減益となった要因は原材料の高騰、人件費の上昇だ。ある程度お客様にご負担いただくときになりつつある」と値上げへの理解を求めた。

ただ、今回の値上げがどこまで利益貢献するかは不透明だ。すき家では牛丼並盛の販売構成比率が高く、大盛などその他のサイズの価格を改定しても、利益貢献は限定的となる可能性が高い。

ゼンショーHDはすき家以外にも、「ココス」「ジョリーパスタ」などのファミリーレストラン、回転ずし「はま寿司」など多くの飲食チェーンを運営している。「さまざまなコスト増はすき家だけにとどまらない。値上げをする方向で、各業態の責任者と商品部が検討している。早いところでは年内もある。入客数や競合他社の動向も勘案して決めたい」(丹羽本部長)。

値上げをすれば当然、客数減のリスクが伴う。影響を最小限に抑えながら、利益を回復軌道にのせることができるか。ゼンショーHDは難しい舵取りを迫られている。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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