ロシア革命100年、なぜこうも忘れられたのか 社会主義・共産主義運動は「反革命」になった

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1989年を象徴する事件といえば、天安門事件、ベルリンの壁の崩壊である。理論によってこうしたことが起こったというわけではないが、新自由主義的理論による包囲網は、すでに社会主義社会を全体主義社会と決めつけ、その社会をこじ開け、崩壊させる準備が着々に進んでいたのである。世界市場における弱小経済国の集まりである社会主義地域は、こうした包囲網の中で西側からの資金援助によって借金漬けとなり、身動きできなくなり瓦解する。

この物語には美談が付け加わる。自由を求める市民の声が、自由に後ろ向きであった反革命的全体主義国家を破滅に追いやったのであると。当時、この動きはヴィロードの革命ともいわれた。

ロシア革命は、歴史の徒花になった。あの革命がなかったならば、ロシア、東欧は今以上に発展し、自由を満喫できたはず、というのが今の主流の解釈だ。こうして、ロシア革命に言及することは歴史のネジを逆に回すことのように見られるようになり、語られることも少なくなっていった。マルクスやレーニンの名前に変わって、新しい英雄の名前トクヴィルやアーレント、そしてフランス革命新解釈の仕掛け人元共産党員フランソワ・フュレが、記念碑に刻まれるようになった。

もとの解釈が復活する可能性だってある

1960年代にロシア革命をフランス革命と並ぶ歴史的革命だと教科書で学んだ旧い世代、そして自由の結果である貧困に苦しむ人々は、今のところこの劇的な解釈の変化にため息をつくしかない。もちろん歴史は後世、いや後世に支配権を握ったものが決める。だから、もう一度もとの解釈が復活する可能性はある。

実はフランス革命がナポレオンの敗北によって終焉を迎えたころ、フランス革命の解釈は大きく変化した。王政復古の勢いを借りて、フランス革命は不幸な暴徒による革命となり、とりわけロベスピエールがその不幸の象徴となったのである。しかし、1830年7月革命によって、また形勢は逆転する。その後に続く革命の結果、フランス革命=ブルジョワ革命説が定着するのである。

後世恐るべし。古い世代は、捲土重来を期待しながら「我が後に大洪水きたらん」と、考えるのかもしれない。

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