存在感が薄れるニッポンブランド 今一度、企業の「本気度」が問われる中国市場

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会社に意志がありますか?

ブランドとは志であり、主張であり、ビジョンです。「我が道を行く」の「我が道」に似たものです。しかし、大企業になればなるほど、周りを気にせず我が道を進むことが難しくなります。個人や小さなチームなら誰に強制されなくても意志が持てますが、大企業で役員が合議でものごとを決めるような場では、当たり障りのない最大公約数の結論しか出ません。

明確な意志や夢が共有されていないと、仕事への情熱がわきませんし、よい事業アイディアも出てきません。中国で成功している日本企業にオーナー企業が多いのは偶然ではないと思います。

経営資源や投資が足りていますか?

事業の成功なしにブランドが先行して発展することはありません。第一、事業が成功して利益が拡大していかないと、ブランド構築への投資もままなりません。日本企業が特にコミュニケーションへの投資に消極的なのは、事業本部単位で、稼いだ利益の範囲でしかマーケティングやブランディングに投資できないからです。一方、グローバル企業は、中国を依然有望市場と見てグローバル本部と一体となって工場、研究所、流通、販売促進に投資してきますから、投資の規模で全く太刀打ちできません。

例えば、家電品や化粧品カテゴリーで主要企業が1年間に使う広告費を比較すると、欧米や韓国の巨大企業に比べると日本の著名企業は桁が一つ小さくなっています。全く同じことはインドでも起こっています。日本の家電製品が苦戦する中、サムスンとLGは潤沢な広告予算とアグレッシブな販売促進によって市場シェアを急速に伸ばしました。

また、日本企業の利益率が高くないのは、生産性とコスト構造に問題点があるからです。特に日本の大企業は自前主義で、スキルやノウハウをインソースしたがりますから、「小さな本社」で重要な仕事でもアウトソースするグローバル企業に比べて高コスト体質になっており、利幅を圧縮しています。

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