弱小であることを認識すべき
一つの問題点は、日本の大企業のビジネス推進機能が事業会社や事業本部に分散しており、企業全体のリソースが活用できていないことです。ですから、大企業の看板を掲げていても、実際の事業規模や予算は中国においては市場シェア中位の中堅企業のポジションにとどまっている企業が多いのです。
中国への輸出を推進する日本の地方自治体も同様で、県単位で物産展をやったり中国事務所を開設したりしている事例がいまだに見られます。限りある予算の中で知恵と汗を絞って奮闘努力しても、中国でビジネスを成功させるための規模の閾値に達していないケースが多いのではないでしょうか。
何でも韓国の例が良いわけではありませんが、最近中国でも「韓流コスメ」が流行しています。特にどのブランドというわけでなく、「品質がそこそこよくて買いやすい値段」「あの女優も使っているらしい」程度の口コミで、韓国製化粧品の人気が高まっているのです。
各企業が独自に自前の予算とリソースを使って地道に努力している日本企業を見ていると、「もっと、日本の本社やグローバルネットワークのリソースを共有・活用できないだろうか」「一社一社の規模は小さくても、公正な競争に抵触しない範囲で“弱者連合”を組むことができないだろうか」と考えてしまいます。
ニッポンブランドの停滞要因
経済発展が進んだ中国では、デジカメでも食品でもホテルでも、機能的な価値が優れていなければ生き残っていけません。ニッポンブランドはこの点はすべてクリアしています。
しかし、そこから先へ進むには、魅力的なブランド・ストーリーを語れることが必要です。人々は、商品やサービスの背後にある主張やビジョンに付加価値を見出し、それに対してプレミアム料金を払ってくれます。ブランドとの絆が深まるにつれ、モノやサービスを超えてブランドを人格化し、社会の重要な一員として認めてくれるようになります。
今は、中国の製造業オーナーもとっくにOEMビジネスモデルを卒業して、オリジナルブランドを打ち立ててビジネス展開する時代です。ニッポンブランド再建のために何が必要なのか、私なりの仮説ではありますが、4つのキーポイントをあげてみます。
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