目的は、「学生に低学年から『働く』を考える機会を提供する」こと。そのために低学年が参加できるインターンシップを紹介しています。
紹介するインターンシップの条件とは、(1)社会人から業務後の内省ならびに業務指導がもらえるもの、(2)1カ月以上の期間で行う有給のもの、です。
さらに、インターンシップが産学協働の教育プログラムであるという前提にたち、求める学生への指導や学業の最優先に賛同する企業のみ、参画しています。参画の条件としている学生への指導を怠った企業には、今後参画を継続できないということも含めて、検討することにしています。給与は各都道府県の最低賃金を上回ることが前提です。
企業側にもメリットは大きい
では、受け入れる企業にとっては、どんなメリットがあるのでしょうか。先に述べたように、率直な意見や学生ならではの発想など、若者の感性をビジネスに活用できることが挙げられます。
さらに、これまでは社風に合わないと思って採用を見合わせてきたタイプの人材を、インターンシップで受け入れてみることによって、意外な活躍をする人材像に気づくチャンスにもなります。
具体的な事例を紹介しましょう。従業員数30名弱のIT企業A社は、もうすぐ創業15年を迎える中、社長は組織に新しい風を入れるためにも新卒採用に踏み切りたいと考えました。しかし、その話を持ちかけられた現場を統括する幹部は、経験のない新卒採用に対し、「育てられるのか」「新卒者が対応できる業務なのか」、という不安を強く抱いていました。
そうしたジレンマの中でA社が下した決断は、まずは長期・有給のインターンシップ生を募集するという方法。求める学生が来てくれるのか、来てくれた学生が活躍してくれるのかを、インターンシップを通じて見極め、学生を受け入れられるように自社の体制を整えることにしたのです。
日本の事業者の97%は中小企業だとされていますが、同じような悩みを抱える企業は少なくないと思います。A社のケースを目の当たりにし、長期・有給インターンシップの推進は、成長を指向する中小・ベンチャーが将来に向けた活力を得るため、また学生たちの活躍の場をさらに多様化するためのきっかけを作る取り組みにもなる、と確信しています。
学生に就業体験させると同時に、企業側が人材教育で足りないこと、若い人たちのアイデアを得ることは、報酬を支払うだけの価値はあるはずです。
社会人として求められる力は、学校で得る知識だけで十分、ということはありません。一定以上の期間にわたってしっかりと仕事と向き合い、社員の人に交じって責任ある仕事をする経験、そして、内省し、レポートという形でアウトプットすることや、企業からの業務評価を受け取ることは、自己理解や仕事理解、ひいては本人のキャリア形成にきっと役立つはずです。さまざまな規模の企業で、さまざまな業界や業種での体験が積めるのは、学生時代のインターンシップならではの特権でもあります。
ぜひ有効に活用していただきたいと思っています。
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