三井物産が「東京都一個分」をプロデュース

マレーシアに見る 次世代型都市のあり方とは?

中でもメディニ地区のあるヌサジャヤは、国内有数の有名校が集まるエデュシティ、マレーシアの行政庁舎があるコタイスカンダール、007やパイレーツ・オブ・カリビアンの撮影スタジオ、人気のテーマパークLEGOランド、イギリスから子供を入学させるためだけに移住するひともいるという名門校マルボロカレッジなどが集積する、集客力の高い地域。

さらに、2018年には同国とシンガポールとをつなぐMRT(いわゆる地下鉄のこと)が、2020年には高速鉄道が開通予定であるため、シンガポールで不動産高騰に頭を悩ませている企業の流入や両国間の相乗効果など、さらなるポテンシャルを秘めている。

メディニ地区はイスカンダール地区の湾岸部に位置し、海峡を挟んでシンガポールと隣り合っている

三井物産はメディア地区におけるマスターディベロッパーであるMIM社(Medini Iskandar Malaysia)に対して、持ち分会社を通じた20%の出資を通じて参画する。MIM社の下には配電、水、ICTなど事業ごとに特別目的事業体を設置。各分野について有力企業と協働、専門性を発揮しながら、インフラを含めた都市機能全般の提供を行う。

次世代型都市を形作る3つの柱

同社が目指す次世代型都市とは「スマートシティ」のことである。スマートシティとは、再生可能エネルギーや先端のICT技術などを駆使して、地球環境やそこで生活する人々への負荷を軽減し、持続的に発展していけるよう設計された都市のこと。エネルギーや水道、交通、医療、などカバーする範囲は広い。

中でも同社は3つの柱を掲げている。「エネルギー管理システム」「セキュリティ」「環境配慮型の交通システム整備」だ。

エネルギー管理システムとは、消費電力のいわゆる「見える化」を指す。リアルタイムで消費している電力量、その用途を可視化。さらに、その日の湿度、温度、日射などの環境、人種などによって異なる体感の差を踏まえた制御を行う。

そのために、外壁に使用する素材や窓ガラスの構造の工夫などによる断熱性の向上、太陽光パネル設置による創エネルギー性の高度化、照明にLED電球を採用するなど、機器への持続性の付加などを住宅や商業施設で検討する。

3つの柱について語る、プロジェクト本部 環境・新エネルギー事業部の岡村哲夫氏

セキュリティとは、治安の良好を指す。このメディニ地区に近いジョホールバルは、シンガポールに住む人の一部から治安がよくないと言われている。旅行で訪れた際に盗みに遭ったという人からの悪評が広まっているのだ。そうしたこともあり、中・高所得者層も安心して集えるハイエンドな街づくりを行っていく。

セキュリティが高いというのは、なにも犯罪者が入れないようにするためにさくを設けることだけではない。同社が神奈川県藤沢市で取り組んでいるサステイナブル都市には、ゲートはないがゲートがあるような抑止力を持たせている。

人の行き来があれば照明を点灯させて周知したり、高齢者が自宅で倒れたときには電化製品などの使用状況などからそのことをすぐに察知し、救急隊が駆けつけられるような仕組みを作るなど。個人情報の取り扱いには十分注意を払いつつも、そうした日本での先進的な取り組みの成果を生かせるのではないか。マレーシアは日本人の移住先としても需要が高まっているため、セキュリティへの配慮は特に欠かせないだろう。

環境配慮型の交通システム整備については、メディニ地区において、EVバス、次に高速バス、さらに人口が増加したときには路面電車などのシステムを整備するとともに、センサーネットワークを活用したリアルタイム渋滞情報などを検討している。

このような都市開発のコンセプト、マスタープランを、今後、経済性の観点から精査し、策定、実行に移していく。またその際、同社が気をつけるべきこととして念頭に置いていることが2つあるという。

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