海洋、新エネで攻める!千代化の野望 千代田化工建設 澁谷省吾社長に聞く

拡大
縮小

太陽熱発電は投資事業として展開へ

――太陽熱発電のほうはどうですか。

こちらも大いに期待している。今、イタリア企業と共同で、新しい技術を用いた太陽熱発電の実証実験を現地でやっている。溶接塩を熱媒とした太陽熱発電システムで、合成オイルを主熱媒とする従来型より高温のスチームを生み出せ、その分、発電効率も高い。コンバインド型のガス火力発電所の隣にこの装置を設置して、太陽熱によるスチームを発電所内に送り込んで火力発電所の効率を上げる、というやり方だってある。

――この装置を中東や欧州の国々に提案して、そのEPCを千代化が担う?

ちょっと違います。まず技術を完全にマスターして、実際の事業のやり方としてはEPCよりもインベスター、つまり発電所に投資する側になりたい。こうった太陽熱の発電所を作ろうとしたら、大きいものになれば軽く投資額が100億円を超えるので、お客さんは自分1社ではやらずに投資パートナーを募る。そこに当社も事業投資で参画していきたい。

設備・プラントのEPCだけでは、どうしても業績が受注の動向に左右されやすい。その点で、水素や太陽熱発電といった新エネ事業がうまく形になれば、事業投資型のビジネスモデルが加わり、収益の拡大と安定化に大きく寄与する。これから本格的にやっていくオフショアも含めて、当社の将来的な姿は今とかなり変わってくると思う。

(撮影:尾形 文繁)

渡辺 清治 東洋経済 記者
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT