海洋、新エネで攻める!千代化の野望 千代田化工建設 澁谷省吾社長に聞く

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――既存のエンジニアリング事業の競争環境も考えてのことですか。

もちろん、それもある。当社が柱とするLNGプラント(天然ガスの液化施設)は、プラントの中でも特に難易度が高いため、世界的にみてもまだ実績のあるプレーヤーが非常に限られる。そうは言っても、いずれはライバルが増えてくる。

すでに石油や石油化学のプラントでは、韓国勢がサウジやクェートで大量に仕事を取っている。中国、インドの企業だって、これから力をつけてくるだろう。将来の競争激化に備える意味でも、LNGで競争力がある間にしっかり種をまき、事業をもっと多様化させたい。具体的には、海洋と新エネを新たな柱に育てていく。

独自の触媒技術を確立し、水素事業に大きな期待

――新エネでは、水素と太陽熱発電を重点分野に掲げています。

澁谷省吾(しぶや・しょうご)
山口県出身、1951年生まれ。76年、大阪大学工学部応用物理修士課程修了、同年に千代田化工建設へ入社。制御システム系のエンジニアとして多くのプロジェクトに携わり、イラクやインド、オマーン、英国に長期赴任の経験あり。2000年制御システム部長、05年エンジニアリング本部長。11年取締役技術部門長などを経て、13年4月から現職。

将来、燃料電池車が普及すれば、大量の水素が必要になる。そういう時代がもうじき、確実にやってくる。これまで水素は、経済合理性の観点から長距離輸送や大量貯蔵・供給が難しいとされてきたが、当社は独自の触媒技術を開発し、こうした問題を克服できた。

水素はトルエンと化学反応させると常温・常圧下でメチルシロヘキサン(MCH)という液体になり、通常のタンカーや備蓄タンクといった既存インフラを使って効率よく大量に輸送・貯蔵できる。しかし、その液体から再び水素を取り出すのが難しかった。正確に言うと、やろうと思えばできるが、従来の技術では非常にコストが高くなり、非現実的だった。当社が開発した独自の触媒技術を用いれば、そのコストを劇的に下げられる。

――その技術をどうおカネに変えるのですか。

このコア技術を大きな武器として、水素のサプライチェーンに入っていきたい。大量消費地で必要になる大規模な脱水素プラント(液体状のMCHから再び水素を取り出す専用施設)のEPCはもちろん、自ら脱水素プラントを運営して販売事業者になることも視野に入れている。中東など海外からの輸入業務も検討する。ただ、この輸入業務はかなり資金負担が大きくなるだろうから、やるとすれば他社との共同になると思う。

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