海洋、新エネで攻める!千代化の野望 千代田化工建設 澁谷省吾社長に聞く

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まずは海洋設備の基本設計で実績を残したい

――千代化として、海洋の何を事業としてやりたいのですか。

最終的には、伊サイペン、仏テクニップのような海洋インテグレーターとしての地位を確立したい。その第一歩として、まずは生産設備全体のFEED(フィード)ができるようになるのが当面の目標。わかりやすく言うと、装置、生産設備はこういうものがいいですよ、といった全体の基本設計です。オフショアの全領域に精通していないと、こうした基本設計はとうていできない。だから今回、エクソダスを買収したわけです。

――実際の工事を伴わないFEEDだけで儲かるのですか。

あんまり儲からないでしょうね(笑)。ただ、今はまだ実績がない段階なので、まずはFEEDの実績を作らないと。それができたら、個々のハードのEPCへと展開していく。沖合生産設備のプラットホームやFPSO(浮体式の原油生産貯蔵積出設備)、FLG(浮体式の天然ガス液化設備)など、候補としてはいろいろなものがある。オフショア全体をエンジニアリングの対象として考えていく。

――開発・生産に必要な海洋設備一式をEPCで丸ごと請け負う?

海洋資源の生産設備というのは、沖合の生産プラットホームや海底生産システム、FPSO、フローライン、海底パイプラインなど多岐にわたり、それぞれを専門に手掛けている業者がいる。それを全部うちが取るというのは、将来の話としてもさすがに難しいと思う。仮にできたとしても、金額があまりに膨らんで、リスクが大きすぎる。お客さん(=開発する側)としても、リスクを考えて、1社に丸投げはしませんよ。ですから、現実的なやり方としては、EPCはいちばんおいしいところを取るというのが普通でしょうね(笑)。

――どんな地域が念頭に?

もちろん、海洋資源を有する世界の国々が対象になる。ただ、このオフショアを考える際、私は日本というキーワードを非常に強く意識している。INPEXやJAPEX、JX石油開発といった日本の石油開発会社も、これから海外のオフショアで自ら開発をやろうとされている。そのときに日本の総合エンジニアリング会社として、きちんとサービスが提供できる、サポートできるようになりたいわけですよ。最近話題になっている国内でのメタンハイドレート開発にしても同じです。

LNGで競争力がある間に海洋・新エネの育成急ぐ

――澁谷社長は盛んに事業の多様化を唱えています。どういった問題認識が背景にあるのでしょうか。

一言でいえば、時代が総合エンジに何を求めているか、ということ。われわれ日本の総合エンジ会社は、ずっと陸上の石油・天然ガス、石油化学といった特定分野で事業をやってきた。事業内容は昔も今も大きく変わっていない。じゃあ、これから先も今のままで本当にいいのか、と。そういう問題意識です。

たとえば先ほど申し上げたように、すでに石油・ガス開発は陸からオフショアへと舞台が切り替わっている。一方で、伝統的なハイドロカーボンとは違った、新たなエネギーに対するニーズも強まっている。そうした時代の変化・ニーズに対応していくべきだし、そうやって変わっていった先に総合エンジの将来像があるのではないかと。

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