シリコンバレー、成功のカギは”学歴やコネ” 「実力主義」神話の虚実

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9月12日、シリコンバレーで成功を収める上で、有名大学出身という学歴や実績、影響力を持つ人物とのコネは、素晴らしいアイデアと同様に重要な要素だ。写真は昨年5月、ニューヨークで撮影(2013年 ロイター/Keith Bedford)

[サンフランシスコ 12日 ロイター] - シリコンバレーの起業家の中で、最も注目すべき人物は誰か──。この問いに対し、ベンチャーキャピタリストのベン・ホロウィッツ氏は、「クリスチャン・ゲオルゲ氏だ」と即座に答えた。

ゲオルゲ氏はルーマニア出身の移民で、渡米時には英語を話すこともできなかったが、リムジン運転手から一転し、ビジネス分析を手掛けるタイドマークを興した人物だ。

同氏のサクセスストーリーは、シリコンバレーが自ら理想と描く世界を的確に表している。実力がものを言う社会、才能さえあれば社会階級や学歴、人種、国籍などに関係なくトップに登りつめることができるという世界だ。

確かに、知性と意欲、そして素晴らしいアイデアには資金が集まり、起業が可能だとの考えは、シリコンバレー精神で中心的な位置を占める。

しかし実情をつぶさに見て行くと、新興IT企業での成功への鍵は、他の分野とそれほど違わないことが分かる。有名大学出身という学歴や実績、影響力を持つ人物とのコネは、素晴らしいアイデアと同様に重要な要素だ。夢を持った無名の挑戦者が成功するというのは例外であって、よく起こることではない。

ロイターは、ベンチャーキャピタルのトップ5社が2011─13年前半に出資したシリコンバレーの88社を対象に調査を実施。それによると、このうち70社の創業者は、典型的なシリコンバレー起業家のタイプに当てはまる人物だった。つまり、大手IT企業での幹部職経験者や、影響力を持つ人物と関係のある会社に勤めていた人、すでに起業の経験がある人、もしくはスタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)のいずれかで学んだ人だ。

ある学術研究では、IT起業家は平均的国民より裕福で学歴が高い傾向にあるという結果が示されているが、今回の調査でもそれが裏付けられた格好だ。

もちろん、このタイプに当てはまらないケースも多くある。オラクルの共同創業者であるラリー・エリソン最高経営責任者(CEO)は、シカゴの中流階級出身だ。創業時の資金は2000ドルで、大半は自身の貯金だった。アップルの共同創業者、故スティーブ・ジョブズ氏は、シリコンバレー出身だが労働者階級の家庭で育った。

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