シリコンバレー、成功のカギは”学歴やコネ” 「実力主義」神話の虚実
影響力を持つ人物とのコネ
ベンチャーキャピタリストたちは、起業にはコネこそが重要だとの見方を否定する。ホロウィッツ氏は電子メールで「ハーバードやMITを卒業したばかりの人がコネがあるとは思えない」とコメント。ハーバードに通ったフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOも、投資家のショーン・パーカー氏に会うまで、有力なコネはなかったと指摘した。
またホロウィッツ氏は、一流校卒という学歴や、グーグルなど競争の激しい企業で業績を残すことは、その人物が世界でも通用する可能性を示すとしながらも、成功の必須条件ではないと述べた。
ベンチャーキャピタルのグレイロックのジョセフ・アンサネッリ氏も、「シリコンバレーはどこよりも実力至上主義だ」と語っている。
しかし、「輝かしい経歴」を持たない無名の起業家は、最近のシリコンバレーでは少数派だ。より多くみられるのは、スタンフォード大卒でグーグルでの勤務経験があるインスタグラムの創業者、ケビン・シストロム氏のようなタイプだ。
ベンチャーキャピタリストはしばしば、知人を通じて出資先を見つける。セコイアのマイク・モーリツ氏は、同社が出資した食料配達企業インスタカートについて「これまでの投資と同じように、今回も友人の友人から紹介された」と語った。
シリコンバレーで成功した人たちは、影響力を持つ人物に紹介されることが極めて重要だと口をそろえる。
前出のゲオルゲ氏は1989年に米国に移住したが、ホロウィッツ氏と知り合った時は、既にデータベース・マーケティング企業や予測分析企業を立ち上げていたほか、ソフト大手SAPでの技術責任者も務めていた。言い換えれば、業界では知られた存在であったということだ。
ゲオルゲ氏は、自身の最初の成功はシリコンバレーから離れた場所で起きたとみている。ニューヨークでリムジン運転手として働いていた1991年、顧客のアンドリュー・サクス氏にプログラムのコーディングが好きだということを伝えた。当時マーケティング会社を経営していたサクス氏はゲオルゲ氏の面接を行い、採用した。その後2人はソフトウェアマーケティング会社を立ち上げた。
ゲオルゲ氏は「最初の出資者はアンドリューだった」と述べ、シリコンバレーでも同様のスピードで物事が展開していたかどうかは分からないとコメント。シリコンバレーでは「ある特定のバックグラウンドを持つことが期待されている」と述べた。
(原文執筆:Sarah McBride記者、翻訳:本田ももこ、編集:宮井伸明)
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