逆風の少年野球、競技人口減でも見えた希望

野球遊びの普及活動を元プロ選手がやる意義

こうした状況が、ようやく野球界にも理解されるようになり、小学校低学年、幼稚園児を対象にした「野球教室」が開かれるようになったのだ。

パ・リーグの埼玉西武ライオンズは、埼玉県を本拠とする独立リーグの武蔵ヒートベアーズ、女子プロ野球の埼玉アストライア、女子ソフトボールの戸田中央総合病院メディックスとともに「PLAY-BALL!埼玉」を実施している。今年6月には埼玉県和光市で第1回のイベントが開かれた。

西武ライオンズは2人の元プロ選手が直伝

ここでは、元プロ野球選手が幼稚園、小学校低学年の子どもたちに軟らかいボールを使って「投げる」「受ける」「打つ」などの基本を教える。教え方の基本はNPB(一般社団法人 日本野球機構)の「ベースボール型」授業にのっとっているが、接し方は極めてソフトだ。

2人の講師の1人、石井丈裕コーチは、沢村賞も受賞したレジェンドだ。球団の少年野球教室であるライオンズアカデミーのコーチでもある。石井コーチは「このイベントでは、あいさつやマナーとは言いません。声を上げたりせず優しく接しています。とにかく野球を好きになってもらいたいです」と話す。

宮本慎也の野球教室でもそうだが、この教室でも子どもだけでなくお父さんやお母さんもボール投げやゲームに参加する。ティーに載ったボールをバットで勢いよく飛ばすお父さんがいる一方で、何度も空振りするお母さんもいる。

講師を務める宮田和希コーチ。野球に触れる機会の少ない母親も積極的に参加している(筆者撮影)

もう1人の講師、2017年4月に就任した28歳の宮田和希コーチは、失敗して舌を出すお母さんにも笑顔で接する。実は幼児の野球教室のもう1つの重要なターゲットは「親」だ。

前述のように幼児の親世代の「野球離れ」も進行している。野球が嫌い、あるいは野球とまったく縁がない親世代に「野球の楽しさ」を体験してもらうのは非常に重要だ。子どもの「野球やりたい」と言うトリガーを引くためには、親の後押しが不可欠なのだ。

お父さんたちは、少年時代にテレビや球場で見た西武ライオンズのエース、石井丈裕コーチと身近に接して、どきどきする。お母さんたちは、若々しく引き締まったアスリート体形の宮田和希コーチにやさしく指導してもらって、ちょっとときめく。元プロ野球選手が幼児相手に野球教室を開く目的の1つは「親を巻き込む」ということでもあるようだ。

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