カープの堅実経営を他球団が手本にするワケ 「12球団で最も貧乏」な歴史が結束を強める
カープグッズの代表が「おもしろTシャツ」。今年4月1日、マツダスタジアムでの対阪神戦。延長10回裏、8対8の同点の場面で安部友裕選手の内野安打でサヨナラ勝利を決めました。この日のヒーローインタビューで安部選手は「覇気が残っていたので打ちました。覇気Tシャツ、作ってくださ~い」と誰へ向けるともなく叫びました。ちなみに「覇気」は安倍選手が自らのプレーのモットーとしている言葉で事あるごとに口にしています。
その勝利から2日後、カープは600枚限定でTシャツを販売。そのTシャツには「覇気Tシャツ作ってくださ~い」という文言とともに安部選手のイラストがデザインされており、数分で完売しました。
6月14日の対オリックス戦。延長12回裏、6対6。バッターの鈴木誠也選手が鮮やかなホームランでサヨナラ勝ちを決めました。その2日後に売り出されたのが、「今年も最高でーす!」Tシャツ。これは、鈴木選手の背番号51にちなんで510枚の限定で、即日完売でした。
カープのTシャツは、デザイン発注から製造、販売までの一連の流れが「2日」という短期間で商品化させる仕組みを構築。また、小ロット生産なので在庫を多く持たないという点も徹底しています。
どんな企業ともコラボするチャレンジグッズも少なくありません。たとえば2016年暮れには、若い女性に人気のアパレルブランド「サマンサタバサ」とコラボ。サマンサオリジナルバージョンのキャップやTシャツ、バッグなどを販売し、多くの若い女性が原宿のサマンサタバサ店舗に詰めかけました。「黒と白」ならぬ「赤と白」のオセロゲーム、3色全部赤の「3色ボールペン」など、そのユニークさと話題性がカープグッズ売り上げの高さを支えています。
ほかの球団が赤字を親会社が広告費などの名目で補填している中で、黒字を続けるカープの経営は堅実といえます。
みんな創意工夫を広島から学んでいる
読売巨人軍元最高顧問で読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏は今年初め、広島地元紙の取材でカープについて次のように話していました。
「1リーグを目指した時代と違って、(経営が)危ない球団が減りつつある。みんな創意工夫を広島から学んでいるんだよ」(2017年2月17日付中国新聞)
この記事では、資金力の潤沢な読売巨人軍が、資金の乏しいカープの戦略を参考にしたいということも書かれていました。メディアでは辛口なコメントで注目を浴びている球界のドンが、こうしたコメントを述べることに驚く人も少なくないでしょう。ほかにもカープの経営を参考にしている公言するプロ野球チームオーナーもいます。
今や球界がお手本にする広島カープ。来年以降も球界の注目を集める存在になりそうです。
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