改めて、ラグビーW杯とは何なのだろうか。ここで、日本大会の概要とともに復習しておこう。
イングランド大会で日本代表は南アをたたきのめしたあと、次戦のスコットランドには苦杯をなめさせられたが、その後サモア、アメリカに勝ち、W杯初の1大会3勝という大きな成果を得た。得失点差で決勝トーナメントには進めなかったが、それまでW杯の本戦でわずか1勝しかしていなかったアジアの弱小チームが一気に世界のステージで脚光を浴びた意義は大きい。
ジャパン、強豪国に相手として認められる
そんな進化もあり、これまでまったく見向きもしなかった強豪国が次々と日本代表との試合日程を組むようになった。ティア1と呼ばれるラグビー伝統国が、「ジャパンとの代表戦は十分見応えがある」と価値を認めたこともあり、次々と対戦を組む動きが出てきたのである。これは、イングランド大会以前にはほとんどなかったことだ。
ラグビーの世界では、テストマッチと呼ばれる国際試合は毎年6月と11月のわずかな期間に組まれるのみで、「2~3年先まで予定が組まれ、割って入るのはほぼ困難」(日本大会開催自治体の関係者)であるにもかかわらず、である。
日本代表は、これまでにスコットランド、アルゼンチン、ウェールズ、アイルランドと対戦したほか、この秋にはホームでオーストラリア戦、アウェーでフランスと戦う。来年には、W杯2連覇で「オールブラックス」の愛称を持つニュージーランドにホームで挑んだあと、イングランドとラグビーの聖地・トゥイッケナムスタジアムで戦うことが決まっている。
残念な話だが、日本でテストマッチを組んでも観客の入りはいま一つで、「はたしてこのような状況で、W杯はどうなるのだろうか」との懸念は拭い去れない。ラグビートップリーグ(社会人ラグビーの全国リーグ)の観客数もイングランド大会直後と比べて低落傾向にあるのが現状だ。
一方で、アウェーとなった昨年秋のウェールズ戦では7万3000人の大観衆の中、あとわずかで日本代表が金星というシーソーゲームを繰り広げ、現地のファンたちを大いに驚かせた。国際試合として十分に見応えあるもので、興行としてもスポーツ番組のコンテンツとしても申し分のない結果となった。
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