日本ラグビーの未来はまったく安泰じゃない 代表・元主将が唱える3つの直言
世界のスポーツ史に残る「番狂わせ=ジャイアント・キリング」と賞賛された南アフリカ戦での勝利など、2015年ラグビーW杯でブームを巻き起こした日本代表。卓越したリーダーシップで日本代表を牽引した元主将が、「その後」の日本ラグビー界に直言する。
仲間が好きだったからこそ
ラグビーワールドカップ・イングランド大会で、日本代表は大躍進を遂げた。2012年から4年にわたった準備が報われたことがとても嬉しかった。僕自身は、一度も試合に出ることはなかったが、チームが勝つために、対戦チームを分析したり、日本に選手への応援メッセージを依頼するなどして、グラウンド外で貢献できた。仲間が好きだったからこそのことだ。良い流れは、国内最高峰であるトップリーグにも引き継がれ、素晴らしい形でシーズンを終えることができた。
しかし今年は、いささかちがう。南半球最高峰のスーパーラグビーに日本が「サンウルブズ」というチームで新規参入したため、新たなステージでのシーズンが始まった。サンウルブズは新規参入チームであるうえに、準備期間の短さもあって厳しい戦いを続けている。それでも、選手、スタッフなどの努力により、ジャガーズ戦においては歴史的な初勝利を手にした。苦しい状況にもかかわらず、いつもポジティブに物事を捉え、チーム一丸となって戦っていたので、僕自身にとってもとても嬉しい勝利だった。南アフリカ・カンファレンス1位のストーマーズを相手に引き分け、日本代表のチームメイトだった五郎丸歩やツイヘンドリックが所属するレッズとの対戦では、途中まで互角の勝負を演じた。五郎丸は、その試合で肩を怪我して今シーズンのスーパーラグビーは出場できなくなった。けれど、僕の個人的な見解としては、少しゆっくりできる時間が生まれたので良かったと思っている。彼の動きを見ていると、少し燃え尽きているようにも見えたからだ。今までずっとグラウンドの内外で働きっぱなしの彼を心配していた。リセットできる良い機会になると思う。