日本ラグビーの未来はまったく安泰じゃない 代表・元主将が唱える3つの直言

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では、日本ラグビーの未来は安泰か?もちろんそんなことはない。南アフリカ戦の勝因を一つ挙げるなら、それは準備における彼我の差だった。南アフリカを徹底的に研究し尽くし、彼らに勝つためのトレーニングを積んできた我々に比べ、彼らは弱小国との初戦ゆえの気のゆるみがあったはずだ。だが、この勝利のおかげで、これから日本を下に見るチームは存在しなくなった。エディー・ジョーンズとの4年間は素晴らしい結果を生んだわけだ。しかし、そのことが将来を約束することにはならない。

日本ラグビーの未来に向けて、3つ提言したい。

まずは日本代表について。新監督はジェイミー・ジョセフに決まったが、現在所属しているクラブとの契約の関係で、6月のテストマッチではサンウルブズの監督を務めるマーク・ハメットが代行で指揮を取る。代表に選出された選手も、選考基準や2019年までのプランについて協会と共有できていない状況だ。これら体制の不備は、2019年のワールドカップを日本で行うスタートとしては最善ではない。早急に一枚岩の体制をつくり、サンウルブズと連動した強化を行うべきだ。そして、協会として日本代表を中心にビジネスを展開していくべきだ。今、一番注目されているラグビー日本代表を使わない手はない。

2つ目は、選手たちの福利厚生のビジョンを示すこと。例えば堀江翔太は前回ワールドカップ以降ずっと試合に出場しつづけている。このペースでは年間39試合にも出場することになる。身体的な負担が大きすぎるそんな生活を、2019年までつづけることは難しい。どの時点で選手を選抜し、選抜した選手をどのようなスケジュールで強化していくのか、その道筋を早めに示すべきだ。

3つ目は、ユース世代からの一貫した強化システムを確立することだ。これは2019年以降も重要になってくるポイントだ。例えば、12歳では何を大事にトレーニングするのかといったことについて明確な指針が確立できていない。Jリーグには、若手育成に関して2歳ごとにプランがあると聞く。例えばメキシコのサッカーでは、若い世代の選手たちに、自国以外のチームとの試合を100試合経験させることをターゲットにしているそうだ。若手に対しての明確な指針があると、指導者も指導方針を立てやすい。僕たちが4年間、積み重ねてきたエッセンスを、そういう方針のなかで生かしていくと継続的に強くなるのではないかと思う。

以上3つの提言は、いずれもラグビー界をどうマネージするか、というマネジメントの問題である。選手は世界に出て、一流を肌で感じている。マネジメント側も、一流のマネジメントを肌で感じる機会を増やせたら良いと思う。そのいっぽうで、様々な有識者を迎え入れ、もっとオープンな議論をしていくことが大事である。

ラグビーを発展させる環境づくりを

こうした課題にこたえるために、僕自身はまず選手会を立ち上げる。選手は、選手の立場でやるべきことをすることが重要だ。選手たちの意見を集約すること、選手がともに行動をすることが必要だ。選手自らが考えて、ラグビーの普及やラグビーを通した社会貢献を行い、ラグビーを発展させる環境づくりに取り組んでいくようにしたい。

さらに、他のスポーツについて学びたい。サッカーとラグビーの人気は昔、逆であった。ラグビーが胡坐をかいている間にサッカーに取り残された。彼らの努力や思想は大いに勉強になる。そして、最後に、自分自身がビジネスの勉強をしようと思う。ラグビーを通して、リーダーシップを学んだ。その経験を有効に使うためにもビジネスを学び、ラグビー界に貢献していきたいと思うのである。

(文: Toshiaki Hirose)

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