カシオの「余り計算電卓」が品薄になったワケ 発売後2週間で欠品、急きょ増産に動いた
余りを計算する機能そのものは、新しいわけではない。1993年、カシオは余り計算に対応した小学生向け電卓を発売。しかしその後の学習指導要領の改訂で授業時間が短縮し、需要が減少。2014年に生産・販売を終えている。シャープも以前、同様の機能を搭載した電卓を販売していたが、生産をやめている。
関数電卓ではオーバースペックだった
2015年ごろ、調剤薬局や物流といった一部の業種に携わる人から「余りを簡単に計算できる電卓はないのか」という要望がカシオの元に寄せられるようになった。だが余り計算をするには、高いもので数万円にも上る関数電卓を手に入れるしかなかった。もちろん、関数計算を必要としない人にはオーバースペックだった。
当時のカシオ社内では、以前から販売しているローン計算のできる電卓や土木測量用電卓のように、業種に合わせた特殊な計算機能を持つ電卓の展開を模索していた。顧客からの要望によって余り計算の潜在需要が発見され、製品企画の中から余り計算電卓が選ばれ、発売が決まったのだった。
通常、電卓の新製品を発売しても大きな広告宣伝を展開することはない。一般消費者向けのベーシックな電卓と比べて余り計算電卓の生産台数は少なく、当初の生産は月1万台に満たなかったようだ。「法人向けの商品は認知されるまでに時間がかかる」と営業本部戦略統括部の尾澤慶子氏は話す。それだけに、ネットで拡散した余り計算電卓のケースは異例といえる。
欠品を解消して店頭に並んだばかりで、今後の販売見通しはまだ不明だ。ただ尾澤氏は「電卓は春にいちばん売れる製品なので、そこでどれくらい売れるかが見極めのポイントになる」と話す。
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