老後に「毎年取り崩せるおカネ」はいくらか

「老後設計の基本公式」を使えば3分でわかる

忍さんがいま亡くなったらどうなるでしょうか。年金受給額は、夫婦で280万円(うち妻の弥生さんの基礎年金が78万円)です。忍さんの受給額を、厚生年金(124万円)と基礎年金(78万円)の合わせて約202万円とした場合、遺族年金として弥生さんに支給されるのは、厚生年金124万円の4分の3にあたる93万円です。弥生さん自身の基礎年金78万円と合わせると、171万円になります。

そうすると、老後生活費(y)も減ることになりますので、年間取り崩し額(d)を計算し直す必要があります。この「老後設計の基本公式」は、このように状況が変わったり、資産が大きく減ったり増えたりした時には、再計算をして、取り崩し額の調整をしてください。

年金は「繰り下げ受給」をする

こうした事態を考慮して取りうる対策の1つに、元気な場合は、「年金を繰り下げ受給する」という方法があります。

受給をひと月繰り下げると0.7%受給額が増えますので、仮に、70歳まで受給開始年齢を引き下げると、受給額は42%増えることになります。夫婦ともに70歳まで繰り下げた場合、65歳でもらえる年金額は280万円でしたから42%増えると、397万6000円になります。

70歳を過ぎて夫の忍さんに万一のことがあった場合、厚生年金は176万円として、その4分の3は132万円ですから、弥生さん自身の基礎年金110万8000円と合わせると、242万8000円になります。老後生活費(y)は、その分増えますし、年金額は生涯変わりませんから、総じて寿命の長い女性にとって、公的年金は非常に心強い制度です。

しかし、現在、年金の繰り下げ受給をしている人は1.5%ほどだそうです。計算上は、おおむね82歳よりも長生きすると得になり、特に女性の場合寿命が長いので有利な可能性が大きいのです。もっとも、年金はこうした損得以前に、見てきたように、「長生きのリスク」に対応できる強力な保険なのだと認識するべきでしょう。

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