「特設注意」解除の東芝、なおそびえる高い壁

得たのは「最低限のお墨付き」に過ぎない

東芝は特設注意市場銘柄に指定された1年後の2016年9月に、改善策や改善の実態を示す「内部管理体制確認書」を提出している。しかし、同12月の自主規制法人の結論は「指定継続」。そのため、東芝は2017年3月15日に同確認書を再提出していた。

数百名の役職員にインタビュー

今回の自主規制法人の判断は、この3月に再提出した確認書の審査結果である。1万ページを超える確認書を精査するとともに、内部管理体制の不備の根本原因を洗い出すとともに、確認書に示された改善策が実際に実行されているかを実証するために、数百名の役職員や数十名の社外関係者にインタビューを実施したという。

日本取引所自主規制法人の佐藤隆文理事長。東芝は「最低限の体制を構築しただけ」と強調した(撮影:梅谷秀司)

「特に(社長や社外取締役を指名した)指名委員会の委員には重点的に話を聞いた」(佐藤理事長)。そのほか取締役、監査委員会、財務部門の社員。一定の責任のある一般社員にも聞いた。社外関係者では主に新旧監査法人(=新日本監査法人とPwCあらた監査法人)からもヒアリングしたという。今回の判断まで半年近くかかったのは、こうした地道で膨大な作業を積み重ねる必要があったためだ。

「9月の理事会で過去2年間の審査を全体的に振り返り、最低限の内部管理体制が構築されてきているようだとの共通認識が得られていた」(佐藤理事長)。たとえば、米原発会社ウェスチングハウス(WH)買収や米フリーポートのLNG契約などで見られたような、「リスクを省みない、身の丈に合わない買収」は鳴りを潜めた。「しっかりリスク分析をし、そのうえで経営判断をする(という当たり前の)ことが今の東芝はできるようになった」と佐藤理事長は言う。

その一例として挙げたのが、スイスのスマートメーター子会社、ランディス・ギアの株式公開におけるプロセス。東芝は7月、ランディス・ギアがスイス証券取引所に上場するのを機に、保有全株を売却した。海外子会社のリスク分析が的確になされた結果という評価だ。

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