「特設注意」解除の東芝、なおそびえる高い壁

得たのは「最低限のお墨付き」に過ぎない

それでも理事の1人が「時期尚早」と反対したように、なぜ今、指定解除なのかという疑問は拭えない。何しろ、東芝の監査を担当しているPwCあらた監査法人は、東芝の「内部統制報告書」に対して「不適正意見」を表明しているくらいだ。

佐藤理事長は「今回の結論はあくまでも自主規制法人独自の審査結果であり、監査法人の監査結果だけで判断するわけではない」と会見で苦しい弁明をした。PwCあらた監査法人が2017年3月期の決算に「限定付き適正意見」を付していることについても、「限定付きとした理由は監査法人から確認できている。改めて不正があった、ということではなかった」と今回の審査に影響しないとした。

「メモリ売却の迷走は管理体制の問題ではない」

「2018年3月期での債務超過回避の決め手となる東芝メモリの売却がうまくいかないことは内部管理体制の不備によるものではないのか」という質問に対しては、「外から見ていると明らかに迷走している、というのは否めない。ただ、東芝の内部ではリスク評価をきちんと行ってメモリの売却先を決めているのだから、内部管理体制に重要な問題があったとは言えない」と反論した。

日本取引所グループの清田瞭CEOはかつて「米WHが連結から外れたのは確認書を再提出した後だが、審査に加味される」としていた。佐藤理事長は、「東芝には米WHなど海外子会社を管理しようとする意欲も能力も低かった。その限りにおいては(もともと管理能力が低かったことから、WHの連結除外の)審査への影響は大きくないが、現在の東芝が(米WHという)重荷を背負っていないのは事実だ」と、どちらともとれる発言に終始した。

一方で、「清田CEOが言及しているような取引所への政治的な圧力はあったのか」との質問には「まったくありません」と歯切れがよかったのが印象的だった。

ある企業会計の専門家は「指定解除しかないという結論ありきで、ただそのタイミングを測っていただけではないのか」と指摘する。そして「指定解除の理論構成には無理があるが、かねてから周到に用意していたように思える」と続ける。

今回の指定銘柄解除で上場廃止のおそれが一時遠退いたが、東芝には「2018年3月までに債務超過を解消する」という次の壁が立ちはだかる。銀行団は「東芝が上場廃止になった場合の影響の甚大さを考えて東証は特段の配慮をするだろう」と期待を寄せるが、これは清田CEOも佐藤理事長も「特別扱いはしない」ときっぱり語っている。

東芝の上場廃止危機は完全に去ったわけではない。

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