「自民vs希望の党」は看板倒れで残念すぎる 党首討論は「3極」の争点が拡散、奇妙な舌戦に
「政権選択選挙」とされる第48回衆院選が10日に公示され、22日の投開票日まで12日間の選挙戦がスタートする。すでに安倍晋三首相(自民党総裁)、小池百合子東京都知事(希望の党代表)ら各党首は街頭や屋内集会などで支持を訴えているが、大多数の有権者が注目するのはテレビ各局も中継する党首討論会だ。過去の例をみても、公示前のテレビ討論での各党首の発言が有権者の心をつかむかどうかが、選挙結果を左右するからだ。
今回の討論の主役はもちろん首相と小池氏。「1強」に挑む「ジャンヌダルク」という"劇場型選挙"に持ち込みたい小池氏だが、もともと首相と同じ自民党保守派だったこともあり、各党首からの「どこが違う?」との突っ込みに「しがらみがないこと」では、いささか看板倒れだ。
小池氏の希望の党旗揚げで民進党が分裂・解党状態に追い込まれ、選挙戦は「自・公」vs「希望・維新」vs「革新3党」という3極対決の構図となった。だが、憲法改正、消費税、原発など重要課題では各党首の主張が入り乱れ、「解散の大義」や「森友・加計学園疑惑」も絡んで争点は拡散するばかり。党首討論の司会者達も「なんだか奇妙な舌戦」と一様に首を傾げる。
「初対決」で指名は首相と小池氏に集中
一連の公開討論のハイライトとなったのは8日午後の日本記者クラブ主催の党首討論会。NHKが生中継するコマーシャル抜きの2時間余の舌戦は、公示前の「最大の晴れ舞台」ともなるだけに、各党首も意気込みと緊張が交錯する複雑な表情で臨んだ。
参加者は安倍、小池両氏に、山口那津男・公明党代表、志位和夫・共産党委員長、松井一郎・日本維新の会代表(大阪府知事)、枝野幸男・立憲民主党代表、吉田忠智・社民党党首、中野正志・日本のこころ代表の8党首。まだ党首なのに無所属出馬の前原誠司・民進党代表と小沢一郎・自由党代表は参加を辞退した。
四半世紀を超える歴史を持つこの党首討論会だが、今回は初出場4人(小池、松井、枝野、中野各氏)、非議員3人(小池、松井、吉田各氏)とこれまでとはかなり異なる構成に。解散前勢力を基準とする席順は初対決となる安倍、小池両氏を中心に「3極」の党首が左右に陣取るという形で、恒例の党首対論や代表質問でも指名は首相と小池氏に集中する展開となった。
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