小池・前原「とらぬ狸の皮算用」に強まる逆風 希望の党の公認候補選びは、しがらみだらけ

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自民過半数割れを狙う小池・前原コンビだが、ここへ来て批判の声も高まっている(写真:ロイター/アフロ)

大多数の国民が「何が何だかまったく分からない」といぶかる10.22衆院選だが、すでに10日の公示を前に全国各小選挙区で立候補予定者たちが鉢巻・たすき掛け姿で有権者に支持を訴えている。

「図りに図って」解散を仕掛けたはずの安倍晋三首相が「想定外」とつぶやく"大乱戦"に持ち込んだのは、小池百合子東京都知事と前原誠司民進党代表の意表を突いた選挙戦略だ。野党第1党の民進党を飲み込んだ小池氏を代表とする希望の党は、「安倍1強打倒」を旗印に衆院過半数(233)の公認候補を擁立して「政権交代」のアピールを狙う構えだ。

しかし、希望系と民進系の雑居状態となった公認候補の顔ぶれをみると、多くは「ずぶの素人」か「議席が欲しいだけの風見鶏」とされ、確たる政治理念や政策は浮かんでこない。しかも自公政権と対峙するはずなのに、公明党公認候補や自民党内の「小池氏の友人」が出馬する各小選挙区への対立候補擁立を避けているため、「選挙後の自民との大連立への布石」との噂も広がる。自らの出馬を「100%ない」と言い続けることも含めて、まさに「疑心暗鬼で敵も味方もかく乱する小池流」(自民長老)だ。

ただ、"身売り"決断で批判にさらされる前原氏と小池氏の「蜜月」は変わらず、枝野幸男元官房長官を代表とする民進リベラル系の立憲民主党結党も含めた野党再編劇も、前原氏は「すべて想定内」と語った。5日昼の小池・前原会談では、安倍1強打倒のため公認候補のさらなる積み上げを確認する一方、小池氏は自らの出馬を改めて否定。その上で、選挙後の特別国会での首相指名候補については「希望の党の結成メンバーと協議する」と結論を先送りした。

ツーショット会見で「都知事続投」示唆するスカーフ

最終日の都議会審議の直前に都庁近くのホテルで行われた会談のあと、小池、前原両氏はツーショットで記者団の質問に応じた。小池氏は「25年ぶりに二人でこうやって話す機会を得た」と切り出したが、焦点の出馬問題については「(前原氏から)熱烈なラブコールがあったが、初めから出ないと申し上げている」とにこやかに否定してみせた。

この日の小池氏のいで立ちはお得意の"百合子グリーン"ではなく、グレーのスーツにスカーフ代わりの白と濃紺の市松模様の風呂敷。東京五輪の公式オリジナルグッズの「東京染小紋風呂敷クロス」と呼ばれるもので、暗に「私は五輪を主催する都知事よ」と言っているようにも見えた。

両氏が思い描くのは自公過半数割れや自民過半数割れによる首相退陣だが「新人候補は聞いたこともない人ばかり」(自民選対)の陣容では、自民の牙城を崩すのは至難の業だ。まして小池氏不出馬となれば選挙戦での"小池フィーバー"にも水を差す。

それでも安倍1強打倒に結び付く議席を獲得するというのは、まさに「とらぬ狸の皮算用」だ。だからこそ、いくら否定しても永田町には「公示日の10日に突然出馬表明するのでは」(自民幹部)との疑念が残り、民放テレビの情報番組でも出演者が出馬のありやなしやばかりをはやし立てるが、そのこと自体も「小池氏の術中にはまっている」(同)とも見える。

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