「カタルーニャ独立」をめぐる不都合な真実 「悪者になった警察官」が差別され始めている

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カタルーニャ自治州のプチデモン首相。テレビ演説を行い、中央政府との対立打開に向けて調停を求める考えを示した。提供写真(写真:ロイター/Catalan Goverment/Jordi Bedmar)

なんとあの場にいた警察犬ということだけで、差別を受ける例も出ているという。飼い犬を紹介する集会があったときに、2匹の警察犬を引き取った家族が参加を断られたそうだ。

もちろん、警察官たちも影響を受けている。

バルセロナとその周辺に宿泊している国家警察と治安警察500人に対して、ホテルから出てほしいという要望が出ている。警察官は9月中旬から、レウス、カレーリャ、ピネダという3都市に滞在していたが、ホテルがある自治体が、ホテルの経営者に警官を追い出すよう要求しているのである。こうした中、カレリャのホテルに宿泊していた警官は、ホテルに迷惑をかけたくないとして、軍の宿舎に移動している。

バルセロナ港とタラゴナ港に停泊している客船に宿泊している警官は狭い部屋であるが追い出されることはない。しかし、港湾労働者から彼らの客船へのサービスは拒否されている。

日本での報道だけでは実態はわからない

こうした事情を知った一部市民から、警官に空いている家や部屋を提供したいという申し出も出ているという。カタルーニャには現在、独立派からの嫌がらせに耐えながら暮らしている市民も少なからずいるのである。そして、彼らを守るのも、国家警察や治安警察の役割なのである。

スペインの歴史や文化は日本人が考えている以上に複雑かつ多様で、今回の件に関しても、スペイン国外でネットやテレビだけですべての情報を把握するのは容易なことではない。日本を含めた多くの国で、住民投票日に警官と市民が衝突した映像ばかりが流れることに懸念を抱いている。大事なのは、なぜカタルーニャ州自治政府が独立を求め、それをスペイン政府が反対しているか、そして、なぜこうした衝突が今回起こってしまったのかを、理解することである。

白石 和幸 貿易コンサルタント

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しらいし かずゆき / Kazuyuki Shiraishi

1951年生まれ、広島市出身。スペイン・バレンシア在住40年。商社設立を経て貿易コンサルタントに転身。国際政治外交研究も手掛ける。著書に『1万km離れて観た日本』(文芸社)。

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