東海地方にある駅前で、昨年再婚したという菊池佐知子さん(仮名、43歳)と会った。迎えに来てくれた自家用車の後部座席には、生後4カ月の息子を乗せている。佐知子さんには前の夫との間に生まれた中学生の娘もいる。10年間はシングルマザーをしていた。そして、2年前に知り合った義弘さん(仮名、42歳)と「授かり婚」をしたのである。
佐知子さんの滑らかな運転で、住宅地にある邸宅を改装したカフェに到着。太陽光がたくさん入る明るいフロアで韓国茶をいただきながら、10年近く続いた1度目の結婚についてから話を聞くことにした。前夫の名前を健一郎さんとしておこう。
前夫はプロのミュージシャンを目指す大学時代の先輩
「前のダンナは大学時代の先輩です。プロのミュージシャンを目指していて、卒業後も就職はせずにアルバイトをしながら暮らしていました。新聞代を滞納して督促されるようなだらしのない人でしたが、母性本能をくすぐられて付き合っていたのだと思います」
さばさばとした表情で過去を振り返る佐知子さん。彼女自身は大学卒業後に住宅メーカーに就職し、厳しい住宅営業の世界に総合職として身を投じた。年収は健一郎さんの倍である。マンションの家賃も佐知子さんのほうが多めに払った。職業柄、賃貸と分譲のどちらが得かが気になり始める。
「計算をしたら、夫婦でローンを組んで一軒家を購入したほうが得だとわかりました。私の勤め先と彼のアルバイト先の中間地点に家を買うことにして、それをきっかけにして結婚したんです。頭金は彼の親が出してくれました」
結婚と一軒家を同時に手にした佐知子さんは当時まだ24歳。実力派の「早婚さん」である。ただし、子どもは健一郎さんが欲しがらなかった。洋服や車にこだわりたいので、教育費などにおカネを使いたくないという。
収入は低く、ちょっとだらしのない健一郎さんだが、家事をまったくしないわけではない。料理を作って佐知子さんの帰りを待っていてくれることもあった。
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