42歳シングルマザーに訪れた「想定外の出産」

最初の結婚10年、シンママ10年、そして…

実際、シングルマザーだった10年間には3回ほど恋愛もあった。しかし、いつも子どもが優先であり、長く続くことはなかった。「片親だからといって娘に寂しさを感じさせたくない」と思い、海外旅行や温泉旅行にも娘と2人で出かけた。自分には再婚の可能性はないと思っていた。しかし、娘との関係に変化が生じ始める。小学6年生ぐらいから娘が反抗期に突入したのだ。

「つねに不機嫌で、ぶっきらぼうな言い方をするようになりました。あるときにケンカになって、『ちょっと出てくるわ』と夜中に家を飛び出したんです。シングルマザーのママ友を誘って飲みに行きました。大人だけで外で飲むなんて本当に久しぶりでしたね」

義弘さんとの出会い

2015年秋のことだ。一度入ってみたいと思っていたダイニングバーのカウンター席で、子どもへの不満を友だちと話していたら気が晴れた。そこに、同じくカウンター席に座っていた男性2人組から声がかかる。珍しいワインをボトルで入れたけれど、すでに3軒目なので飲みきれそうもない、手伝ってもらえないか、という上手な誘い文句だ。そのうちの1人が、現在の夫である義弘さんだった。

本連載に登場してくれる晩婚さんには、酒場で出会った人と交際して結婚したケースが少なくない。飲食店の好みが同じだと、食事などの嗜好が近く、意気投合しやすいのかもしれない。ボトルワインを入れて、周囲の客にもおすそ分けするという流れならば、大人の余裕を表現しながらそれとなく会話を始めることができる。

1歳年下の義弘さんの第一印象は「嫌ではないけれどタイプでもない」だったと振り返る佐知子さん。ただし、義弘さんは地元の銀行に勤務しており、佐知子さんとは仕事上の接点があった。マラソンや音楽などの趣味も似ていた。連絡先を交換し、デートを重ね、2人の交際が始まった。

「デート中も自分のお兄さんやお姉さんの話をたくさんしてくれて、家族思いの人だなと思うようになりました」

当時、義弘さんには2年間も別居中の妻がいた。子どもはいない。結婚生活はとっくに破綻していたが、お互いに連絡を取り合いたくないという理由から、籍だけは残っている。佐知子さんとの交際が始まり、義弘さんは離婚の手続きを完了した。

佐知子さんのほうは中学生の娘に「彼氏ができたよ」と報告をした。娘からは「やめてよ」の一言。かといって拒絶するわけでもない。家に遊びに来た義弘さんに軽くあいさつをして、自分の部屋に引っ込むだけだ。反抗期にしては十分な対応だろう。そして、佐知子さんの妊娠を機に2人は入籍をした。

「42歳での妊娠は難しいですよね。でも、うちで飼っている猫と犬を彼がかいがいしく世話している姿を見て、本当は自分の子どもが欲しい人なんだろうとは感じていました。授かれたらいいなと思っていたところ、すぐに妊娠。彼は賃貸のマンションを引き払って、うちに引っ越してきてくれました」

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