「夏目漱石」の真実をどれだけ知っていますか ロマンを浪漫と意訳した作家の蘊蓄100章

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61. 『吾輩は猫である』のモデルになった猫は夏目家に住みついてしまった迷い猫。名前はなく、「ねこ」と呼ばれた

62. 猫より犬好きという説もあり、漱石は犬も飼っていた。犬の名は「ヘクトー」。トロイの英雄から名づけられた

63. 1908年、モデルとなった猫が亡くなると、墓標に「猫の墓」と書いて桜の下に埋葬、「この下に稲妻起こる宵あらん」という句を添えて友人たちに猫の死亡通知を送った

64. この「ねこ」の後、漱石は少なくとも 2匹の猫を飼った

65. 『吾輩は猫である』に登場する「芋坂の団子」は日暮里に実在する『羽二重団子本店』のこと

66. 『坊っちゃん』はこれまで 5回映画化されている。1977年版で主役を演じたのは中村雅俊

67. 『坊っちゃん』に登場する清の墓は、小説のとおり小日向の養源寺に実在する

68. 井上ひさしは『坊っちゃん』の最後の 1行の「だから」は日本文学史上最も美しく最も効果的な接続語と評した

三四郎池(写真:SUYA / PIXTA)

69. 東京大学構内にある心字池は、『三四郎』で主人公とヒロインが出会う場所として有名で、「三四郎池」の名で親しまれている

70. 寺田寅彦は漱石の門下生で、『吾輩は猫である』の寒月、『三四郎』の野々宮宗八のモデルとされている

原稿執筆に行き詰まったときの癖

71. 『三四郎』に登場する与次郎は鈴木三重吉、里見美禰子は平塚らいてうがモデルともいわれる

72. 漱石は原稿執筆に行き詰まると鼻毛を抜いて原稿用紙に並べる癖があった。これを大切に保管したのが内田百閒

73. 内田百閒は門下生というより熱狂的漱石ファン。のちに『漱石先生雑記帳』などを著した

74. 漱石が原稿執筆にも愛用していたのはオノトの万年筆。インクはセピアを好んだ

75. 漱石特注の原稿用紙は、橋口五葉デザインによりヘッドに双龍模様と「漱石山房」の篆書をあしらったもので、当時の新聞小説の版組に合わせて19字詰め。神奈川近代文学館ではほぼ原寸大に再現した原稿用箋を販売

76. 神田淡路町の老舗洋食店『松栄亭』の「洋風かき揚げ」は漱石のリクエストにより初代店主が開発したメニュー

77. 漱石は下戸であり極度の甘党。とくにイチゴジャムが大好物。『吾輩は猫である』には漱石をモデルとする苦沙弥先生が、ジャムを舐めるシーンが登場する

78. 銀座の老舗『空也』の「空也もなか」は漱石がこよなく愛した和菓子のひとつ。『吾輩は猫である』に登場する「空也餅」はこの店で年2回だけ販売される期間限定品

79. 自宅に業務用アイスクリーム製造機を所有し、病気療養先にも持ち込んでアイスクリームを作らせていた

80. 朝食はトースト、夕食は牛すき焼きが定番だった

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