学校予算をPTAに頼らない!ある校長の信念 学校が先に動けば、保護者だって動く

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たとえば運動会のとき、普通の学校ではいちばんいい場所に本部が置かれ、自治体・他校から来た“来賓”が座りますが、浄水北小ではそのポジションに、地元の写真館から借りたひな壇を設置。保護者がそこから自由に写真を撮れるようにしたそうです。

競技中の学年の保護者が入れ替わりで使用。校舎も開放しているので、上階の窓から校庭の子どもたちを見ることもできる。本部(来賓席)はコーナーに設置

「親同士がほかの人を押しのけあったり、場所取りでいがみあったり、それがいちばんいやなんです。それじゃ、何のために運動会や学校教育をしているのかわかりません。子どもがそれで、いい子になるはずがない。だから親がそうならないように、ゆとりをつくるんです。そうすれば自然と譲り合いも生まれてきますから」

話を聞いていると、「もし子どもの通う学校にこんな校長がいたら、自然と協力せずにはいられないだろう」と思います。そんな学校で育つ子どもたちは、きっと責任感のある大人になることでしょう。

「~だからできた」、ということではない

それにしても改めてなぜ、こんなPTCAを実現できたのでしょうか。いわゆる普通のPTAや学校は、前例踏襲と義務・強制に埋もれています。ことなかれ主義で、新しいことを嫌う校長が多いなか、片桐校長はなぜ、ここまでやったのでしょうか。

「やっぱりそこは、校長の仕事だと僕は思っていますから。みんな『PTAは保護者のことだから』って逃げちゃうけれど、ウミが出ているのを見てほうっておいたら、絶対にいいことはない。

手をつける権限や力を持っているのは、やっぱりここ(校長)が一番だと思うんです。よく周囲から『片桐だからできるんだ』とか『新設校だからできた』とか言われますけれど、そういうことではないんです」

プールは屋上にあるので、土や草が入らず美しく保たれている

正直に言えば筆者も、お話を聞いてやはり「片桐校長だから」「新設校だから」できた部分はあると思うのですが、おそらく片桐校長もそれはわかっているのです。ただ、それを「自分が何もしないための言い訳に使うな」と言いたいのでしょう。

保護者も同様です。現状のPTAのやり方で苦しむ人がいるのを見て見ぬふりをしたままで、子どもたちが立派な大人に育つとは思えません。校長先生も保護者も、気づいた人から手を動かしていくことが求められています。

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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