学校予算をPTAに頼らない!ある校長の信念 学校が先に動けば、保護者だって動く

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「そもそも、PTA会費を集めるからいろんな問題が出てくるんです。会員が300人いたとして、300人全員が納得のいくおカネの使い方なんて決められないですからね。会費を集めなければ、総会を開く必要もないし、加入するしないでもめることもありません。

あとはこのPTCAの場合、市から“放課後児童健全育成事業”の委託を受けているので、その予算の一部をPTCAと学校で共有する備品に充てることができます。そういったことを公明正大にやるため、PTCAを一般社団法人にしてあるんです。

でも普通はそこまでやれないと思うので、必ずしもよそにお勧めはしません。

ただ『活動の見直し』と『自分たちでおカネを生む努力』だけでも、会費をなくすことは可能だと僕は思いますよ」

前例踏襲と思考停止をやめて、みんなが本気で頭を働かせれば、きっとほかにいろんなやり方が見つかるはず――。これまで全国のPTAを取材してきて、筆者も心底そう思います。

よりおカネが必要な部分におカネをまわすためにも、また、より人手が必要な部分に人手をまわすためにも、保護者も学校ももっともっと、頭を使っていきたいところです。

学校が先に動けば保護者も動く

このような経緯を経て、浄水中学校と浄水北小学校に、義務や強制、会費のないPTCAができたわけですが、今後はどうなるのでしょうか。活動は継続できるのか?

片桐校長は「ボランティア精神の涵養」と「保護者の意識」が、これからの課題だと言います。

浄水北小PTCAの会議の様子。保護者によると、ボランティア制が始まって数年が経ち、人気のある活動とそうでない活動がはっきりしてきたという

ボランティアって勢いがあるときはみんな来るんですけれど、慣れてきた人や新しく入ってきた人にはワクワク感がないから、廃れていきやすい。だからそこは、こちらから手を打っていかないといけません。

たとえば夏休みのプール開放の手伝いも、たまに『この日は午前が空いた(人がいない)』というときがある。でもそこで『じゃあ、この日はやめよう』ということにはしないんです。『オレが行きゃいいじゃん』って、校長の自分がやる。そこは、ふんばりどころです。

みんなの勢いを落とさないために、裏でぐっと支える部分も必要なんですよ。相手が“ありがとう”と思うようなアクションを、こちらから先に起こしていくこと。自主的な活動が本当に定着するまでは、そういう努力も必要です」

こういった、片桐校長の「相手が“ありがとう”と思うアクションを先に起こす」エピソードは、プール開放のほかにも山ほどあります。

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