ライアンエアーからパイロットが逃げている 6週で2100便を取り消し、LCCの雄が大迷走

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ところが、その後もキャンセルの傾向がやまない。ライアンエアーは15日になって「パイロットや客室乗務員の休暇日程のやり繰りにミスがあった」として、向こう6週間のフライト計2100便余りを取り消すと正式に発表した。

キャンセル数は「1日当たり平均50便」としているが、日によって30便だったり70便超だったりと一定していない。単純計算では運航便全体の2%にすぎないのかもしれないが、ローカル区間を飛ぶ便がキャンセルされると、一部の利用者は数日にわたってまったく身動きが取れなくなることもありうる。そうした利用者にとって、事態は深刻だ。

すでにキャンセル対象便は同社のウェブサイトで発表されている。当該便のチケット購入客には便の振り替えや返金に応じており、9月24日までに影響を及ぼした旅客の97%に当たる30万5000人に対する処理が終わったと明らかにしている。

しかし、多くの利用客から怒りの声が上がるのは当然。同社のチケットは競合他社に比べて極端に安い。皮肉なことに、全額返金を受けたところでその予算を使って他社便のチケットを買うのは無理なほか、旅先の宿泊費を全額支払い済みで変更やキャンセルも不可能だったりと実質的な損害が生じるからだ。

パイロットの“集団脱走”が真相との声も

ライアンエアーは大規模キャンセルについて、“パイロットらの休暇年度の変更”を大きな理由として挙げている。これはいったいどういう事情によるものだろうか。

パイロットにはフライト時間の制限があり「任意の28日間に100時間」という条件に加え、「1暦年(1〜12月)に900時間」または「連続する12カ月で1000時間」と定められているが、同社ではこの上限に引っ掛かるスタッフが続出している。加えて、英国を中心とする欧州線では3〜4月のイースター連休と夏季休暇の最終となる9月上旬の需要が極端に高くなるため、その直後が反動で休暇を取るスタッフが増えるという傾向がある。

欧州の航空当局は各社に対し目下、今年末までにパイロットの就業時間について「連続する12カ月で1000時間」という条件を外し「1暦年に900時間」へ一本化することを促しているが、この調整をめぐって現場で混乱が生じているという。ライアンエアーのケースがまさにそれに当たり、従来の4月開始だった休暇年度を1月開始に変えることに伴い、移行期間に当たる今年は夏季休暇がほぼ終了した9月以降に休みを希望する従業員が重なったことから大規模キャンセルにつながったようだ。

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