ドラギ総裁、欧州景気先行きになお慎重 欧州中央銀行、政策金利据え置きを決定

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9月5日、ECBは主要政策金利であるリファイナンス金利を0.5%に据え置いた。写真は記者会見に臨むドラギ総裁。同日撮影(2013年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は5日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.5%に据え置いた。

下限金利の中銀預金金利も0.0%に、上限金利の限界貸出金利も1.0%にそれぞれ据え置いた。

理事会後に開かれた記者会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。

<フォワードガイダンス>

われわれの政策スタンスは、7月に示したフォワードガイダンスに沿い、必要な限り緩和的であり続ける。理事会は、ECBの主要政策金利が長期間にわたり現在の水準、もしくはこれを下回る水準に維持されるとの見通しを確認する。

われわれの金融政策に関する認識は、引き続き、物価安定見通しに正当化される金融緩和の度合いの維持と、安定した金融市場状況の促進に向けられる。これは経済活動の緩やかな回復の支援となる。

<短期金融市場>

短期金融市場の状況については、過剰流動性が徐々に縮小していることにも影響を受けている。

3年物流動性供給オペ(LTRO)資金の返済状況は、金融市場の信頼感が改善し、金融市場内の格差が幾分縮小し、ユーロ圏の金融機関によるデレバレッジが続いていることを示す。

こうした事態が金融政策のスタンスに与える影響に対して、引き続き特段の注意を払っていく。

<利下げについて協議>

利下げについては、いつもと同様に協議した。われわれは金融政策スタンスの現状についてその都度討議し、金利やその他の政策手段について話し合っている。景気の改善を踏まえればこうした議論は正当化されないとみる理事会メンバーも当然いるが、一方で回復の芽は依然あまりに若いと認識しているメンバーも複数見られた。

<地政学的リスク>

シリア情勢に起因する可能性のある地政学的リスク、および新興国市場の状況から発生する可能性のあるリスクという2つの種類の異なるリスクを当然警戒している。

<回復に慎重な見方>

回復について非常に慎重な見方を持っている。回復は始まったばかりであるため、熱狂に加わることはできない。回復の芽はまだ非常に小さい。

<行動する用意>

中期的物価安定に関するECBの認識を踏まえ金利や短期金融市場の動向が不適切であれば、行動する用意がある。

<他の中銀との協調行動に関する質問に対し>

協調行動についてはまだ協議していない。いずれにしても定期的な連絡はとっている。今週末にバーゼルで主要国中銀が会合を開く機会がある。

<ギリシャ債務救済に関する質問に対し>

答えはノーだ。われわれがマネタリーファイナンスをすることができないことは非常に明確だ。

<ECBが失業率を目標にするべきかとの質問に対し>

われわれの責務は物価安定に関してであり、中期的な物価安定がわれわれの目標だ。

<アイルランド>

(アイルランドの)後継プログラムの可能性については適切な時期に決定する。現行プログラムが成功裏に終わる条件が引き続き見られるということが考慮すべき主要な点であり、アイルランドはこの点において先頭を切っている。

<フォワードガイダンスの目的>

(フォワードガイダンスの目的は、リファイナンス金利と中銀預金金利の差である)コリドーの範囲内での変動を縮小させることで、これについてはわれわれは成功してきた。

第2の目的として、経済の改善に関連して市中金利が過剰に反応しないことを確実にすることが挙げられる。この点ではある程度成功している。

<固定金利での資金供給>

固定金利で全額供給する政策は必要な限り実施し、少なくとも2014年7月までは継続する。

<短期金融市場の過剰流動性>

(過剰流動性の縮小が金融政策スタンスに及ぼす影響に)「特に注意を払う」とした文言に注目するのはもっともだ。現時点で過剰流動性は十分とみているが、行動する用意もある。

過剰流動性とユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)の関係については、正確な数値がないという意味で不安定とみなさざるを得ない。

<財政政策>

政府は財政赤字削減と債務比率の低下に向けた取り組みの手を緩めるべきではない。財政再建策の内容は、中期的見通しに立ち成長を考慮したものであるべきだ。

<経済リスクは下向き>

ユーロ圏の景気見通しを取り巻くリスクは引き続き下向きだ。最近の世界の通貨・金融市場動向やそれに伴う不透明感は、経済状況に負の影響をもたらす恐れがある。

<信用市場>

ユーロ圏各国の金融状況に金融政策を十分、確実に波及させるためには、域内信用市場の分裂状況をさらに改善させ、必要に応じて金融機関の回復力を高めることが重要だ。

<生産は加速へ>

生産は緩やかなペースで回復するとみられる。緩和的な金融政策スタンスが追い風となって、内需が段階的に改善することが主因だ。

<経済活動の改善>

8月までに発表された信頼感を測る経済指標は、経済活動が低水準から段階的に改善するとの見通しを裏付けている。

<物価圧力は抑制>

ユーロ圏における基調物価圧力は、中期的に引き続き抑制されると予想される。

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