渋澤:ただ、一方で日本人は休み方が下手だともいえますよ。たとえば経営者の中には、自分が休むことについて、悪いことだと思っている人が、実は結構いらっしゃいます。それではダメでしょう。やはりリセットは大事です。特に、クリエーティブな仕事をしている人は、休みを取らないといいアイデアも生まれてきません。経営者だって、立派なクリエーターですからね。
そういう立場にある人が、まったく休みを取ろうとせずに働き続けるのは、結局のところ効率を下げることにつながります。休み方がきちんとできないと、働き方も満足にできないことになります。だって、考えてもみてくださいよ。欧州ではサマーバケーションを1カ月くらい取るのが当たり前ですが、欧州経済って破綻していないじゃないですか。
中野:休み方、忘れちゃうんですよ。だって、草食投資隊の3名はそれぞれ小さな会社を経営していますが、われわれトップが土日と祝日はきちんと休み、加えて夏休みと冬休みをしっかり取っていたら、今頃会社そのものがなくなっていますよ。
藤野:確かに、スタートアップの段階では、どうしてもトップ依存にならざるをえないのは事実です。すべての企業は、創業期のトップのブラック的な働き方によって成り立っているし、創業メンバーの準ブラック的な働き方によって、より大きく伸びていくのは、どうしても避けがたいところがあります。また、そこで働いている従業員も、何となく「自分たちの仕事ってブラック的かも」と思っているけれども、自分たちの働きによって会社と社会が変わっていく実感があるし、実際に結果に表れてくるから面白くなって、頑張っているという事実もあります。
働く時間で形式的に判断しても、意味がない
渋澤:本当のブラック企業は、多様性を許さない世界なのではないでしょうか。たとえば定時で帰ることを許さないというような。でも、それは絶対に間違っています。
中野:これは人事制度を作るときに思ったことなのですが、労働基準法の仕組みそのものが矛盾だらけなのですよ。極端に言えば、仕事ができない人ほど相対的に高い給料をもらっていて、それが新たな不公平感を組織内に広めている。しかも、社員は労働基準法によって守られているから、辞めさせたくても辞めさせられない。結局、今の労働組合法、労働基準法、労働関係調整法という労働三法の下では、フェアな人事制度を作るのは不可能です。で、結局のところ年功序列がベターということになってしまう。
渋澤:ただ年功序列って、人の能力に対する評価は不要ですよね。結果は出さなくても、年功を重ねればある程度まで役職が上がっていく。で、その間、ただひたすら「頑張ります」と言っていれば、何となく上司の覚えもめでたく、会社に残っていられる。これでは会社も伸びません。
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