外国人が心底驚く日本人の特異な「自然観」 なぜ「整った自然」をこんなにも愛でるのか
そう考えると、日本ではなぜ自然が、恐怖、あるいは、畏怖の念を持たれているのか理解できる。欧米にある多くの国と異なり、自然災害という面においては、日本は本当に危険なところなのである。
もちろん、日本人が自然にある種の恐怖感を抱いているからといって、日本人が自然との深い結び付きを感じていないとか、敬意を表していないということではない。自然は恐ろしいものかもしれないが、同時に日本人にとって大事なものであることは間違いない。それは、前述のとおり、自然が日本の芸術やライフスタイル、文化、信念などにしみこんでいることを考えれば明らかである。
日本人の自然への考え方は尊敬されている
こうした日本人独自の自然に対する考え方や概念は、欧米人のそれとはだいぶ違うが、最近は少しずつ広がり始めている。自国文化と違うからと言って敬遠されるのではなく、日本的な考え方はむしろ尊敬されているのである。
たとえば、日本庭園や日本の美術、文学、インテリアデザインは世界中にファンが多くいるし、神道や禅といった宗教に基づいた自然を尊重する姿勢や、自然に関連している武道の考え方は、外国では大変興味深いと思われている。
私自身は、自然は美しいものという感覚を子どものころから持っていたが、日本に来るまで自然というコンセプトをしっかりと熟考する機会はなかった。日本という独特の文化はその機会を与えてくれた。
「整った自然」は、自然とつながりながら季節の変化を楽しむ最も安全な方法だろう。だからこそ、風景式庭園、盆栽、生け花、季節の花(桜や梅など)が重要なのだ。これは日本独自のものであり、凄まじい迫力を有する自然に対する深い敬意を表しているものと感じる。
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