市場75%減、日本の「屋根瓦」は生き残れるか 「地震に弱い」というイメージが瓦業界を直撃
「日本で最も古い瓦メーカーとして、瓦産業を支えたいという理念から社名変更を行った」(樅山社長)という。目下の事業環境として「サプライチェーンの毀損リスク」を挙げ、2013年には屋根瓦の原料である粘土のメーカーを買収したことを明かした。
栄四郎瓦を含めた屋根瓦メーカーは、瓦を一から製造しているのではなく、粘土を加工・成形・焼成し、全国に出荷するのが役目だ。原料の粘土や焼成前に塗る釉薬(ゆうやく)は、周辺に位置する外部の業者から調達している。
さらなる新築住宅減で打撃は必須
こうした原料業者は零細企業が多く、「仮に大手が瓦製造以外に舵を切れば、原料業者は立ちゆかなくなる。淘汰といえばそれまでなのかもしれないが、すると今度はわれわれが瓦製造に必要な原料を調達できなくなってしまう」(大手瓦メーカー幹部)。
愛知県の三河地方という限られた地域で全国の屋根瓦製造を引き受けるには、他社との連携が欠かせない。「全国に出荷しているといっても、しょせんは地場産業だ。持ちつ持たれつの関係を大切にしないとやっていけない」(同)。
ただ、残された時間は多くはないかもしれない。野村総合研究所の推計では、2030年の新規住宅着工戸数は、現在の6割未満である55万戸にまで減少する。手探りの各社を尻目に、市場は容赦なく縮小し続ける。
「燃料電池の素材であるファインセラミックスは、高温で焼き上げる点で瓦と同じ。既存の設備が活用できるのでは」(全陶連の小林氏)というアイデアも挙がるが、現状では開発に取り組んでいる企業はないという。
大手ハウスメーカーは「日本の住宅の屋根には瓦が一番しっくりくる。本当は屋根瓦をもっと顧客に選んでもらいたい」と胸の内を明かす。
日本の屋根瓦を守ることができるのか。業界の試行錯誤は続きそうだ。
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