市場75%減、日本の「屋根瓦」は生き残れるか 「地震に弱い」というイメージが瓦業界を直撃

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しかし、一度定着したイメージの払拭は難しかった。昨年10月には群馬県高崎市が、瓦を下ろしてセメント製や金属製の屋根材へ葺き替える工事に補助金を支給するという"事件”が発生。業界の反発を受け、この6月からは新しい瓦への葺き替えも対象となったものの、地震に弱いというイメージが根強く残っていることは明白だ。

一般的な屋根瓦である陶器瓦の出荷総額は、1980年をピークに、2014年時点で369億円と4分の1まで縮小。神社仏閣や日本家屋向けのいぶし瓦に至っては、1993年をピークに、2014年には97億円と6分の1まで落ち込んだ。

壁材、太陽光向けなど多角化を模索するが・・・

こうした逆風の中、瓦メーカー各社は生き残りを模索している。業界首位で東証2部と名証2部に上場する鶴弥(愛知・半田市)は、屋根瓦で培った技術を用いて壁材の開発に着手。現在はテスト販売中だが、軌道に乗れば「戸建てだけでなく、マンションや商業施設にも営業がかけられる。土特有の風合いを建築に生かしたい」(満田勝己取締役営業部長)。

業界2位でジャスダック上場の新東(愛知・高浜市)も、太陽光パネルとの一体型の瓦を開発。「瓦はセメント製や金属製の屋根材と異なり手入れが不要なため、パネルと相性がいい」(新美昌彦取締役営業部長)。シャープの代理店としてパネル販売に取り組むなど、瓦以外の事業も展開する。

栄四郎瓦の樅山(もみやま)朋久社長。記者会見では、創業200年を超える名門企業として、日本の伝統を担う自負を語った(記者撮影)

「日本国民のため、これからも瓦はできるだけ安価で提供していく」「同業他社が廃業する中、自分たちは何とか続けていきたい」――

1801年創業の名門で、屋根瓦メーカーとして売上高3位の丸栄陶業(愛知・碧南市)は、9月1日から社名を「栄四郎瓦」に変更すると発表した。

新社名に掲げた「栄四郎」は、同社が製造する瓦のブランド名だ。創業家出身で8代目の樅山(もみやま)朋久社長が強調したのは、「伝統を継承する責任」だ。

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