iPhone Xが「1000ドル」「超品薄」になる必然 有機ELパネルの供給量が十分ではない

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第2のポイントは価格だ。10周年を記念したiPhone X(10)、もしくはiPhone 8ともいわれる有機ELディスプレイを搭載する新型iPhoneは相当高額になりそうだ。以前から、今回の最上位モデルはこれまでのiPhoneよりも価格が大幅に高くなり、1000ドルを超えるともいわれてきた。

アップルはこれまで、iPhoneの価格について、4.7インチモデルでは649ドル〜、5.5インチモデルでは769ドル〜と設定してきた。大型ディスプレイモデルに120ドルのプレミアムを設定し、また記憶容量が倍増するごとに100ドルずつ高い価格を設定してきた。

3モデル発表されるとみられる新型iPhoneのうち、iPhone 7、iPhone 7 Plusの後継モデルは、引き続き、この価格展開を維持するものと考えられる。一方で最上位の新型モデルについては、全く異なる、より高い価格設定、つまりiPhone 7 Plus 256GBモデルの969ドルよりも高い価格設定になると考えられている。

その理由は、数多く搭載されるとみられる新しいパーツの存在だ。KGI Securitiesのアナリスト、Ming-Chi Kuo氏によると、価格上昇の最大要因は、5.8インチで端末の前面全てを覆う有機ELディスプレイになると分析する。

Kuo氏によると、これまでの大画面モデルであるiPhone 7 Plusでも45〜55ドルだったディスプレイパネルは、新型iPhoneでは120〜130ドルに高騰するという。

有機ELパネルを供給できるのはサムスンだけ

このディスプレイパネルを提供できるのは、iPhone発売時点ではサムスン電子1社のみであり、競争がない分、価格が高止まりしている可能性があると指摘する。

有機ELパネルの採用はiPhoneでは初めてだが、既にAndroidスマートフォンのハイエンドモデルでは採用が進んでいる。薄型化や曲面の実現、低消費電力、そして黒の表現が豊かになる点で、スマートフォンには適したディスプレイと言われてきた。

アップルの採用は有機ELパネルそのものより幅広い普及を後押しする反面、iPhoneの需要に耐えうるサプライヤーがサムスン以外に育っていなかったことを意味する。2018年以降は、LGやジャパンディスプレイもiPhone向けのパネル供給に参画すべく、アップルによる投資も行われてきたが、2017年の新型iPhoneには間に合っていないのが現状だ。

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