新専門医制度、「地域医療ファースト」の波紋 都市部の募集人員に「上限」

旧整備指針の「画一的な制度設計」見直す
新専門医制度は、なぜ都市部の扱いを厳格化し、「地域医療への配慮」を全面に打ち出す必要があったのか――。新制度の方向性が明らかになりつつあった1年半ほど前、大学病院に医師が集中するなどして「地域医療が崩壊する」との懸念が噴出。昨年7月に当時の同機構執行部のほとんどのメンバーが入れ替わるといった「再スタート」を余儀なくされた。このため、今年6月に公表した新整備指針では、旧整備指針を「画一的な制度設計」と評し、見直す必要があったことを率直に認めている。
地域医療にどのような配慮をしているのか。まず挙げられるのが、研修の中心となる「基幹施設」の要件を緩めたことだ。旧整備指針では要件などが厳しく、大学病院以外の医療機関が基幹施設になることは難しかった。これを改善するため、専攻医の採用実績が年間350人以上の領域(内科、外科、小児科、麻酔科、精神科、救急科など)については、大学病院以外でも基幹施設になれるようにした。