「ギリギリOK」の線引きで議論は好転する 「ありきたり意見」しか出ない会議が変わる
まずは、「打ち合わせの論点」についてです。
あるハミガキメーカーから「コモディティ化が進むハミガキ市場にどう対応すればよいか?」というご相談をいただいて、打ち合わせを行ったときのことです。
「コモディティ化」とは、一般的には、競合他社と商品の差がほとんどなく、価格ばかりが下がってしまう成熟市場を指します。スーパーやドラッグストアのハミガキ売り場を思い出せば、コモディティ化の様子を想像しやすいかもしれません。
「どう対応すればよいか?」という問いを打ち合わせの中心に置いてしまうと、アイデアの範囲が広すぎてしまい、とっかかりがなくなってしまいます。そこで、博報堂のあるクリエイターはクライアントに次のような質問を投げかけました。
「わが家に子どもが2人いるのですが、毎日のハミガキを嫌がってサボろうとします。また、博報堂の男性社員の中で、ランチの後にハミガキをする人は全体の1割ぐらいでしょう。商品は成熟しているものの、ハミガキ行為自体は成熟していないのはなぜですか?」
先方は、予想もしない質問だったようで、ああでもない、こうでもない、と議論が盛り上がり始めました。そして、そのプロジェクトの中心となる論点は、「コモディティ化にどう対応するか?」ではなく、「ハミガキ行為はなぜ成熟しないのか?」へと変わったのです。
このように、事前に決められたテーマが必ずしも、そのまま「論点」として使えるとは限りません。特に、テーマに「コモディティ」のようなカタカナ言葉がある場合、お互いの共通認識がずれていて、その後の議論がまったくかみ合わないという事態になることもよくあります。
そのため、まずは参加者全員でテーマを見つめ直し、ふさわしい「論点」を設定することが大切なのです。
アイデアに境界線を引く
打ち合わせの論点が見つかれば、次はいよいよアイデアを拡散していきます。
ただし、無制限にアイデアを広げようと思っても、なかなか広げることはできません。そこで、重要になるのが、アイデアに境界線を引くことです。
先に「アイデアとして、どこまではアリで、どこからはナシか」を明確にすることで、アイデアを出しやすくすることができます。
ここでは、アイデアに境界線を引く方法の一例として、コンサルティング部門のある男性社員が行った、「ギリギリレース」という手法をご紹介します。この手法を用いると、アイデアの境界線を短時間で引くことができます。
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