「マナーの悪い外国人観光客」を冷静に考える 「観光税」と「行政対応」のセットで対処しよう

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たとえば、観光客の中に「マナーの悪い観光客」が存在する割合がどの国籍でも同じだと仮定すると、「マナーの悪い中国人観光客」に出会う確率は、「マナーの悪い欧州人観光客」に出会う確率の4.5倍です。

また、現在の欧州から訪日している人の多くはビジネス目的なので、純粋に観光目的の人に絞ってあらためて試算すると9.8倍になります。日本に観光に訪れる中国人は、欧州人と比較して10倍も「悪目立ち」するのです。

もっと極端な数字を出すと、たとえばドイツ人の訪日観光客は18万人いますが、観光目的は39.7%に過ぎません。一方、中国人観光客は637万人のうち75.1%が観光目的ですから、これを踏まえると、「マナーの悪いドイツ人観光客」1人に対して、「マナーの悪い中国人観光客」は65.8人もいるということになります。

繰り返しますが、マナーの悪い人がいる確率は同じとして計算しています。それでも、65.8倍も「マナーの悪い中国人観光客」に会う確率が高いのです。

つまり、「中国人観光客のマナー」がここまで「悪目立ち」してしまうのは、日本の外国人観光客が東アジア地域に偏っているという「バランスの悪さ」が原因であるという見方もできるのです。

日本人の中にも…

そうは言っても、中国人のマナーがなっていないのは事実だと怒りが収まらない方もいると思います。しかしこの問題は、夫婦げんかではありませんが、文句を言い始めればきりがなく、どこまでいっても平行線ではないでしょうか。

マナーの悪い中国人も確かに多いです。しかし、イギリス人の価値観で言わせていただくと、日本人のマナーに疑問を抱くことも少なくありません

社会の常識的なマナーを守っている日本人の比率が極めて高いのは言うまでもありませんが、やはり1億2700万人という分母が非常に大きいですし、見ず知らずの人に面と向かってマナー違反を注意しない文化もあり、実はかなり「ひどいマナー違反の日本人」もいるのです。

たとえば、仕事柄、新幹線で東京―京都間を月に何度も行き来しているのですが、車掌さんに注意されても、座席に座ったまま携帯電話で話をしている方にはかなりの頻度で出会います。

前に座っている人が明らかに迷惑そうなのに、座席の上にまで足を投げ出している男性を見掛けたこともありますし、座席でヒゲ剃りをして、そのカスを床に捨てている方もいました。

座席で手の爪を切っているだけでもどうかと思いますが、靴下を脱いで足の爪を切る強者も何度も何度も見ました。先週などは、若い女性たちがネイルを皆で塗り合って、爪を削るボードのようなものをそのまま席に残して降車してしまう場面を目撃しました。

これらの方々は、話している言葉や読んでいるものを見る限り、明らかに日本人でした。

日本人の友人たちからは、「そんなマナーの悪い人に出くわすなんて、あなたは運が悪いね」と言われます。大多数の日本人はマナーが良いのに、それは特殊なケースだというのです。

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デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長

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David Atkinson

元ゴールドマン・サックスアナリスト。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。2010年代表取締役会長、2011年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

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