「マナーの悪い外国人観光客」を冷静に考える 「観光税」と「行政対応」のセットで対処しよう
まず、冷静な意見を述べているのは、観光に実際に携わっているという方や、観光地に住んでいるという方が多かった印象です。たとえば、以下のようなコメントです。
「観光地に住んで商売しています。観光で来られる方々はとてもありがたい存在です。「外国人」観光客への「偏見」??無いですよ。日本人も含めてですが、あるのはマナーの悪い人達への対処法だけです。国籍は関係ありません」
一方で、かなり激しい口調で批判、あるいは中傷しているのは、観光と直接的に関係していない方のように見受けられました。この「当事者ではない人たちのほうが、より激しい攻撃性をみせる」という傾向は、バルセロナやベネチアのような「反観光デモ」でもみられています。
日本の観光に必要なのは「冷静さ」だ
このような傾向からあらためて、いまの日本の観光を論じるうえで最も必要なのは「冷静さ」だということを確信しました。
観光に対して批判的なコメントを寄せている方には酷なことを伝えるようですが、実は日本において、外国人観光客を呼ぶべきかどうかを議論する時期はとっくに過ぎてしまっています。
私は大量の移民を迎えるのは反対ですし、呼ぼうとしても、健全な移民誘致はできないと思います。人口減少によって日本人観光客は減少していきます。その悪影響を緩和するためにも外国人誘致はやむをえないと思います。特に、日本人は結婚率が下がり、子どもが減っていますし、国内観光客もそれ以上に減っています。厳しいことを言えば、外国人を誘致する必要があるこの状況は、「自業自得」と言えるのです。
さらに言うと、「観光立国」を目指すための観光戦略を推進していくという方針は、日本政府が明確に打ち出しているもので、もはや「国策」となっています。この方針が転換しないかぎり、訪日外国人観光客の数が増えていく流れを食い止めることはできません。
では、「議論」がもはや意味をなさないというのであれば、いったい何が必要なのかというと、現実を見据えた「冷静な対応」です。個人的な感情や評価をいったん脇に置いて、この問題に対して何を行うべきなのかを、客観的かつ冷静に考える時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
そこでまずは、皆さんと一緒に、日本国内で特に問題視されている「外国人観光客のマナーの悪さ」を冷静に考えてみましょう。
外国人観光客のマナーの悪さが多くの観光地で報告されていることは、紛れもない事実です。しかし、なぜここまで多いのかという疑問に対しては、「文化」や「民度」の一言で片付けられてしまい、客観的かつ冷静な分析はなされていません。
この問題を各要因に分解して考えてみましょう。マスコミの報道を鵜呑みにする前に、考慮すべき点があります。
実はこの問題には「ただのマナーの悪さ」のほかにも「行政の不十分な対応」「知識不足」「住民目線と外部目線の違い」などさまざまな要因があり、単純ではありません。
まず、中国人のマナーの悪さです。中国人の訪日観光客は2016年に637万人で、全体の26.5%を占めています。その次に多いのは韓国人の訪日観光客で、509万人と全体の21.2%となっています。これは裏を返せば、日本を訪れている外国人観光客のほぼ半数(47.7%)は、中国人と韓国人だということです。一方、欧州からの観光客は142万人にすぎません。
これが「中国人のマナーの悪さ」を目にする機会の多さに結びついていく、というのは説明の必要がないでしょう。
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