「マナーの悪い外国人観光客」を冷静に考える 「観光税」と「行政対応」のセットで対処しよう
先日、テレビで沖縄の観光地のゴミ問題が取り上げられていました。外国人観光客がゴミを道端に捨てているというものです。映像を見るかぎり、確かに酷い状況で、耐えかねて外国人を出入り禁止にしたと報道していましたが、ひとつ気になったことがあります。
その外国人たちがゴミを捨てている場所の真ん中に、「不燃ゴミ」と書かれた袋が映し出されていたのです。外国人観光客がわざわざゴミ袋を購入して、分別してポイ捨てをするとは考えにくく、日本人が不法投棄したものだと考えるほうが自然でしょう。
そうなると、外国人たちがこの場所にゴミを捨てていたのは、「不燃ゴミ」が不法投棄されていたことで、ここをゴミ捨て場だと勘違いしたという可能性が浮かび上がります。
皆さんも海外では、どこがゴミ捨て場なのかわからないとき、地元の方がゴミを捨てている場所に捨てるのではないでしょうか。外国人のマナーの悪さは、このような知識不足が引き起こしていることもあるのです。
ここは日本なのだから、日本にやって来る外国人も日本のルールをしっかりと勉強して、すべてを受け入れなさいと言われればそれまでの話ですが、ルールに従うことと、日本のルールをすべて肯定することには大きな違いがあります。「ルールに従っている=ルールすべてが正しいと納得している」ではないのです。
「郷に入れば郷に従え」は誤用されている
そこで私が気になるのは、「郷に入れば郷に従え」という言葉です。外国人観光客の問題を論じると、必ずと言っていいほど持ち出してくる方がいるのですが、ほとんどの方が誤った解釈をしています。
このような非常に古いことわざはローマ帝国にもありましたし、中国にもあります。中国の「入郷而従郷、入俗而随俗」というのは、旅人が旅人に対して「自分の価値観と異なっていても、その土地の文化ややり方に従ったほうがいいことがある」というアドバイスとしてつかった言葉です。地元の人が旅人に対して、「俺たちのやり方に従うべきだ」と自制を求めるような使い方ではありません。
ちなみに、西洋の場合は古くから、旅人を受け入れる側のマナーとして、法律や規制に触れないかぎり、もてなす側は最大限の我慢をすべきだと考えられています。
断っておきますが、私はマナーの悪い中国人を弁護するつもりなどありません。ただ、マスコミで言われているほど単純な現象ではない、ということを申し上げたいのです。
これだけ圧倒的な割合を占めていれば、中国人観光客は悪目立ちします。マナー違反の件数と中国人観光客数という分母を比較せず、「中国人はマナーが悪い」という民度の問題にしてしまうのは、かなり乱暴です。そこに加えて「価値観の違い」も考慮する必要があるのではないでしょうか。
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