「2%物価目標は間違い、日銀は出口戦略示せ」

木内登英・前日本銀行審議委員に聞く

──2014年10月の「量的・質的金融緩和」の拡大を決めた決定会合でも、2016年1月のマイナス金利政策導入を決めた会合でも、賛成5票、反対4票。こういう体制はどうなのか。

客観的に見れば5対4は賛成と反対が拮抗している状態であり、あとは議長の考え方次第だ。票が割れている中では、議長案を少数派寄りに修正し、できる限り多くの賛成を得られるようにするのが、委員会制度の趣旨としては妥当という考え方はある。

だが決定会合は、5対4での妥結はそのような調整がなく、議長案が過半数で通ればよいという運営の仕方だった。特にマイナス金利政策については、その後、市場の評価が非常に悪かったので、多くの人が納得できる説明がなされていなかったということになる。

サプライズ政策は不確実性を増した点で問題

──FRB(米国連邦準備制度理事会)などが市場との対話を重視するのに対し、黒田総裁は市場を驚かすこと、「サプライズ」を狙っていたように見えた。

世界の中央銀行の潮流はサプライズではない。市場と対話を図って認識のギャップを埋めながら、安定的に政策を運営していくのがトレンドだ。日本銀行の手法はそうではない。その最たるものが、物価見通しだ。展望レポートの見通しと民間の見通しが非常に大きく乖離している。市場との認識ギャップを埋めようとする姿勢が弱いと言わざるを得ない。

日本銀行としてサプライズ政策をやっていると言及したことはないし、サプライズ政策ですかと聞いて、「そうだ」とは言わない。しかし、外部からはそう見られても仕方がなかった。2014年10月の緩和拡大と2016年1月のマイナス金利はそうだった。

マイナス金利政策については、直前まで黒田総裁が否定していて、金融市場にとっては不意討ちとなった。ECB(欧州中央銀行)もマイナス金利政策を導入しているが、事前にそれとなく金融機関には伝わっていた。心の準備だけでなく、システム対応などができた。

日本の場合はまったく準備ができておらず、システムや会計上の対応、法的な位置づけなど、後になってからばたばたと問題が生じた。サプライズ戦略をとったために株価が上がった、円安になった、というのは一時のことに過ぎず、政策効果は変わらない。

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