移民排除政策でテロを防ぐことは不可能だ 移民を受け入れるしか抑止策はない

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

デンマークのステップモデルプログラムは、実地での言語教育と技能訓練を組み合わせた補助金による雇用を通じて、移民への長期的な仕事の確保を支援するものである。「移民の労働市場への参入が早ければ早いほど、長い目で見た彼らが社会に溶け込みやすくなる」とOECDは述べている。

いくつかの欧州諸国や、進歩的な考えを持った都市は、移民が到着したらできるだけ早く読み書き能力と言語運用能力を改善するための対策を立ち上げてきた。デンマークには3年間の研修プログラムがあり、移民への言語訓練を最大5年間提供している。ドイツではNGOのABCamiが、ムスリム女性のための読み書き能力プログラムをモスクで行っている。オランダには、子どもたちに第二言語を習得させることに特化したプレスクールがある。

有効性を知るには時間がかかる

また、ベルギーのヘントやオーストリアのウイーンでは、人種差別と戦うための「ツールキット」を提供している。同時に、職場や公共サービス、家探しなどにおける差別がないか特定機関が監視・是正しているほか、行政機関として移民議会を持つ欧州の都市も増えている。中には、公立学校でイスラム学の授業を提供している国もある。

こうしたプログラムがどれだけ有効かを知るには、時間を要するだろう。これによって強硬化した原理主義者による攻撃リスクを減ることはないだろうが、政府機関は、繁栄する社会の果実を共有できずにのけ者のように感じている人たちを助けることが、彼らが過激派への道を歩むことを防ぐ策だと信じている。

「教育と雇用は市民権を促進し、過激派のメッセージに誘惑されている若い人々の最善の保護策だ」と、デンマーク当局は2016年の国民行動プランで語っている。

スペインや欧州のその他の都市でテロ事件が起こっている今、新しい移民統合政策は絶対に必要だ。こうした政策は特効薬ではないかもしれないが、バルセロナのような陰惨な事件の可能性を減らせるかもしれないことは、何でも試してみる価値がある。

著者のポール・ホッケノス氏はベルリン在住のライター。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事