移民排除政策でテロを防ぐことは不可能だ 移民を受け入れるしか抑止策はない
ほとんどが男性であるこれらの若者は、その境遇やアイデンティティ上の葛藤につけこむISやそのほかの急進派にとって、都合のいいカモとなりやすい。バルセロナの事件でも同様に、ピレネー山脈の小さな丘にある犯人たちの故郷の町のイマームが、彼らを利用していたようだ。
外国人労働者たちが、どんなに優秀でも長く滞在することのない客のように扱われ、そして彼らが長く滞在したとしても決して受け入れ国の本当の一員になることはできなかった戦後の数十年間の時代以来、欧州は移民やその子どもたちを社会の一員とすべく進歩を成し遂げてきた。たとえばドイツは1999年、排他的な市民権法を改正し、非ドイツ人が申請をして市民になることができるようにした。
移民コミュニティは社会的に孤立している
しかし、複数の調査が、多くの移民コミュニティは依然、社会的に無視されていることを示している。たとえば、経済協力開発機構(OECD)が2016年に行った調査では、移民や難民は現地の言葉を学ぶのに苦労しており、レベルの高い教育を受けるのに障壁があることがわかった。
OECDによると移民の多くは、自分の専門スキルを認めてもらうのに苦労しており、日常生活でも多くの面で差別に直面しているという。欧州連合(EU)では、移民の親を持つ欧州生まれの子どもたちの失業率は、ネイティブ生まれの親を持つ子どもより約50%も高い。
それにもかかわらず専門家たちは、社会による移民の受け入れは、正しい政策が行われた場合のみ可能だということを強調する。こうした面で、北欧諸国の先駆的な政策の数々が手本を示せるだろう。
国民と移民の「統合」は、こうした移民をより多く、そして迅速にその国の労働市場に参加させることを必要とする。たとえばドイツは、政治的亡命を待つ難民に、職業訓練プログラムを受けることを認めている。ドイツのビジネス界が立案し推進するこの政策は、たとえ彼らの亡命の申し込みが却下されたとしても、移民がこれらのプログラムを受けながらドイツに残ることを可能にする。
また、スウェーデンでは、移民たちは専門のメンターに引き合わされ、彼らの教育レベルや職業経験に最も合うところに配置される。たとえば、農業経験のある人たちは農村地域に行くことになる。