弁護士、弁理士はこれから食えますか? 【キャリア相談 Vol.18】

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どんどん領空侵犯せよ

ジョイントベンチャー設立時のクロスライセンスにおける経済モデルをP/Lだけでなく資本構成(優先株の経済性設計等)も含めて事業部門と話が出来れば素晴らしいです。エクセルが使えて資本ストラクチャーがわかる弁理士です。他の部署からの発注で単に申請をするだけでなく、もしかしたら「事業性から考えると、まだ特許を取らずに他社に存在を知られない方がいい」というアドバイスすらできるかもしれません。従来、クロスライセンスの関係から特許は物量と考えがちですが、それも一つ上の事業戦略レイヤーとして正しいかを問う必要があります。

職場で法務部や知財部におけるセクショナリズム及び面倒なことが非常に多いことは理解できます。ただ本質的な価値に忠実であれば、「最強特許部隊」として、事業戦略を理解し、事業戦略に口を出し、他社との交渉も強く、訴訟も負けないという本質的な付加価値に忠実であるべきだと思いますし、そこの統括責任者を欲しがらないところは無いと思います。

質問者の方は「PRがうまい人が出世する」と仰いますが、資格があるのであればビジネス領域をどんどん領空侵犯したらどうでしょうか?無資格者が独占業務を行うことは出来ませんが、弁理士が事業を語ったり、ファイナンスのプロになるのはありです。弁護士でも、隣接法律職や企業人に「それは非弁行為だっ」と争うのではなくビジネスパーソンの仕事を奪っていくのはありだと思います。ご自身を再定義してみましょう。「あの人は弁理士なのに、事業もわかるし会計も詳しい」と言われて出世するのはダメでしょうか?判例だけでなく、法と経済という側面からも考察することで、高い経営的視点が持てるはずです。

質問者の方が資格を持ち「技術知識や語学知識」もあるのは素晴らしいことです。資格があれば外部の先生にも部下にもナメられませんし、プロを使えるのはプロだけです。一方でこの辺で、個別案件に深く入るのではなく、いざとなったら切れる刀(法律家の知識と経験)は抜けるけど、大所高所からの視点での事業戦略の立案と後進の育成に舵を取っていってはいかがでしょうか?資格保有者が増えたからこそ、職人でありつつビジネスサイドのプロジェクトマネージャーであることがこれからのインハウスの王道だと思います。

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塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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