会社での重要なプロジェクトを率いるわけですから、あなたにとってそれはチャンスです。これまでと異なる視点や気づきを得たり、会社の考える組織戦略に触れることができたり、上層部とさらに緊密な関係が築けたりと、多くのメリットが思いつくはずです。「どうして私なの?」「女だから?」と考えたところで、きっと答えは出ない。「どうやってこれを機会に変えようか」「この機会をどう生かそうか」と考えることからしか始まらないのではないかと思うのです。
たとえ、会社があなたを任免した本当の理由が、あなたが懸念したように、「女性活躍だから女性リーダー」と安易に考えた結果だったり、あなたをこのプロジェクトの広告塔にしようと思っていたりしていたとしても、あなたに残された選択肢は、駄々をこねて評判を下げてまで固辞するか、あるいはこの機会に乗っかって成長を享受するか、どちらかしかありません。理性的に、損得を考えながら、できるだけ前向きに気持ちを切り替えてみましょう。「お飾りの、形だけの社内プロジェクト」「女性が集まって愚痴を言う会」でないように、あなたが自分でチームを動かし、成果を出していけばよいだけなのですから。
ビジネスライクにいこう
私自身は、随分前のダイバーシティプロジェクトも、退職直前まで担っていたダイバーシティ推進の業務も、振り返るとすばらしい機会だったなと心から思います。私もあなたと同じように、女性に配慮ばかりするより、女性も社員のひとりとしてもっと成長支援すべきだ、と信じるひとりです。けれども、人それぞれが抱えるやりにくさや不安を理解すること、一人ひとりが成長して成果を残すためにすべき支援や、マネジメントとは何かを考えること、自分と違う他者をきちんと認めることを通じて、人としても管理者としても、成長できる機会となったと思っています。そして、これがもし、「女性だからやらせとけ」「ワーキングマザーだから適任」と思われてのミッションだったとすれば、私にとっては「女性だから、ワーキングマザーだからこその役得」だったと言い切れます。
たとえば、内閣改造などで、「女性大臣を入閣させたいから、あの人があのポジションに就いたのね」などと思ってしまうことがありますが、仮にその憶測が真実だったとしても、「大臣」という重要なポストの経験を積むことができ、実績として語っていくことができる機会を得たことに変わりはないわけです。それって、ある意味すごいチャンスでもあり、役得であると私には思えます。それとは次元はもちろん違うけれど、同じように考えてみることはできないでしょうか。あなたもプロジェクトリーダーという重要な役割をたっぷり経験して、組織を動かす難しさを体験して、もっと成長してしまえばいいのです。
蛇足になりますが、私はこの仕事を始めるにあたって、師匠として尊敬する元上司の女性に、「女性活躍を語る人はいっぱいいる。でも責任者として実務に対峙した人はまだ少ない。それは大きなブランドになる。自覚して武器として闘いなさい」と言われました。今でもかみしめる言葉です。あなたにとっても、この経験は将来、何かのブランドになるかもしれません。子どもっぽい感情論から離れて、ビジネスライクにいきましょう! 「女性だからですか?」なんてかみついたら、それこそ、「オンナって面倒くさいなぁ」なんて思われかねませんよ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら